2016. 05. 11  

 ”ring finger splitting”を略すと環指の分割でしょうか。


 要するに環指を長軸に二分すると橈側(中指側)は正中神経支配領域であり、尺側(小指側)は尺骨神経支配領域であるということです。


 これは手根管症候群(CTS)や肘部管症候群(CubTS)、Guyon管症候群を診断するために確認すべき境界線です。


 CTSなどにおける正中神経障害では環指の尺側に、CubTSなど尺骨神経障害では環指の橈側にはしびれや知覚障害は生じません。


 稀にこの境界線を超える例に遭遇することがあります。そのような例では、より中枢側での鑑別が必要であり神経根症や胸郭出口症候群(TOS)を疑うべきです。


 CTSを裏付ける誘発検査がすべて陽性例の典型的なCTS例であっても環指の尺側にしびれがあった症例を経験したことがあります。小指にはしびれはありませんでした。神経伝導速度検査では複合筋活動電位(CMAP)には異常所見がなく、TOSの誘発検査が全て陽性でした。

 同じようにCubTSの疑いで神経伝導速度検査をした症例がありますが、環指の橈側にしびれを認めました。チネル徴候は肘部管に認め、肘屈曲テストで養成。しかし、よくよくしびれの領域を確認していくと前腕内側にも認められ、MorleyテストやWrightテストなど、TOSの誘発検査は全て陽性でTOSと診断され、TOSリハで緩解致しました。


 このように些細なことですが、基本的なところを丁寧に確認することにより思い込み診断を防げます。

 このring finger splittingを今一度丁寧に診てみてはいかがでしょうか。

 

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阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
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