2016. 04. 26  
 手根管症候群の治療の目的は、手根管内圧を下げて正中神経の除圧を図り、正中神経領域のしびれや痛み、感覚障害の改善、短母指外転筋の筋力増強による母指対立機能の改善、これらによるつまみ動作の再獲得であることに異論はないと思います。

 手根管症候群は、手指屈筋の滑膜の腫脹により手根管内圧が高くなり正中神経が圧迫されているため、スプリントによる安静。手根管の内圧を高める肢位の回避。手指の屈曲により虫様筋が手根管内に進入することによる内圧の増大、示指と中指の浅指屈筋腱による正中神経の圧迫を回避するために、指伸展位でのスプリントが必要となります。指伸展での固定ですので夜間以外は使用できません。夜間のみ装着と連日装着では効果に差はないとの報告がありますので、夜間のみの固定で十分と考えております。

 正中神経は滑膜に絡められた状態で横手根靭帯に固定されるので滑走が制限されております。神経が固定されておりますと、肘や手、手指の伸展で正中神経は伸張損傷が繰り返される可能性がありますので、神経滑走の拡大を図る必要があります。

 しかし、手根管症候群は正中神経障害の症状ばかりではありません。滑膜の腫脹が病態にありますので屈筋腱の滑走障害が多少なりとも生じてきます。また、合併症には腱鞘炎が高率に発症しますので腱鞘炎症状が加わります。患者は手根管症候群の症状だけを訴えてきません。腱鞘炎のこわばりや痛みなども訴えてきます。つまり、手根管症候群に罹患した手全体の治療をしなければなりません。そうでなければなかなか症状がすっきりしないことはご理解できることと思います。

 正中神経の機能回復だけでは手根管症候群を患っている手の症状改善は不十分です。
 合併症である腱鞘炎。母指のCM関節症もあるかもしれません。橈骨遠位端骨折による機能障害が残っているかもしれません。
 手全体の機能改善を図らなければ患者立脚型評価のDASHやCTSI-SSの症状スコア―はなかなか改善しないと思います。

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阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
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