FC2ブログ
2015. 12. 02  
 件名:橈側手根屈筋腱 断裂についてのご質問
--------------------------------
 初めまして。サイトを見てご連絡させて頂きます。当方海外在住で医療レベルのかなり低い国に住んでおり、近くに安心して相談できる先生がいないことから、此方でご相談させて頂ければ大変有難いと思いメールを出させて頂きました。
 8週間前にガラス破片により右手首周辺に数カ所裂傷を負い、橈側手根屈筋腱の断裂にともなう縫合手術をシンガポールにて受けました。
 6週間の固定後、サポーターを外し、徐々に動かせるようになっておりますが、サポーターを外した週に無理に動かし始めた所為か、時に鋭い痛みと腱に沿って赤みと軽い腫れが確認できます。シンガポールの医者とはメールで随時やりとりしており、腱の再断裂はないとの判断を頂いております。しかし一向に痛みと赤みが引かないことと、右手首が外側に60-70度ほどしか曲がらないこともあり、適切なリハビリ方法、すなわちどれ程痛みを我慢して、どれ程積極的に動かす努力をしなければならないか、どれ程無理をすれば再断裂の危険があるのか等を知りたいと思っております。あと、当方ゴルフや野球を当地で趣味としていますが、どれ位で再開できるのかも非常に気になっております。お忙しいところキ)タタ臺儷化未任△蠅泙垢・・紳瓦簡嵜・困韻泙垢搬臺冤㌃颪・犬犬泙后
 宜しくお願い致します。



 ご訪問ありがとうございます。

 先ずは、腱の修復過程をご理解ください。
 切れた腱は糸で縫合しますが術後間もない頃は糸依存の連続にすぎません。この時点で腱に過度な緊張を加えると断裂してしまいます。ですから、腱が強固な連続性を得るには癒合という治癒過程が必要となります。
 腱自身には自己修復する能力もありますが、腱周囲組織からの修復もあります。
前者は腱の癒着を最低限のものにしますが再断裂の危険性があります。後者は腱の癒着は必発ですが再断裂の可能性は極めて少ないものです。


 6週間の固定ということですので腱は周囲組織と強固に癒着し、腱の機能である“滑走”が強く制限されていたと思います。同時に手関節の関節拘縮(関節の可動域制限のこと)も合併していたと思われます。

 この時期のリハビリはこの強固な癒着を柔軟性のある癒着に変容させなければなりません。そのためには癒着組織に持続的な緊張を加えていく必要があります。癒着を剥がすという考えですとどうしても強力な矯正力となりますが、これでは組織の破綻を招きます。腱の再断裂や内出血、炎症など引き起こされてしまいますのでお勧めいたしません。

 文面に“無理に動かした”とありますが、無理は控えて下さい。無理は無理です。
 どれくらい無理をなされたのかは存じ上げませんが、癒着組織には毛細血管が入り込んで形成されますので、癒着組織の損傷による内出血が生じます。そうしますと、組織損傷は再び修復過程に入りますので癒着を繰り返すこととなります。

 「鋭い痛みと腱に沿って赤みと軽い腫れが確認できます」とありますが、恐らく炎症を呈しているのだと思います。熱感があるようでしたら冷やすようにして下さい。熱感がある限りは加熱しないようにして下さい。熱めのお風呂に入ってのリハビリは避けるようにして下さい。

 確認ですが、母指、示指、中指の感覚障害、母指の対立障害(母指と示指とで○を作るようにしてつまんだ際の母指の手掌から離れる運動)はありませんか。橈側手根屈筋のすぐ近くに正中神経が走行しております。損傷されていなければいいのですが・・・。


 具体的なリハビリ内容ですが、情報が少なく直接拝見しておりませんので参考程度にして下さい。

 手関節の背屈は90度を目標にして下さい。
 リハビリ内容は、四つん這いや机に手をつくような動作で持続的に手関節の背屈を矯正していきます。矯正(伸長)強度は“軽い痛み”として90秒間持続的に行って下さい。その後、手関節を掌屈して下さい。これを繰り返すことにより橈骨手根屈筋腱の滑走拡大を図っていきます。

 筋トレは8週くらいから徐々に初めていいと思います。痛みと腫れを観ながら行って下さい。熱感があれば、温めるのでなく冷やしてください。
スポーツは12週くらいから初めて結構です。痛みを我慢してプレーを継続するようなことは避けて下さい。

 手関節の屈筋には橈側手根屈筋より強力な尺側手根屈筋がありますので、恐らく、手の使用には多大な障害にはならないと思います。
スポンサーサイト
NEXT Entry
一緒に働きませんか!
NEW Topics
訪問者(作業療法士 Tさん)への返信
手根管症候群の手(CTS hand)
訪問者(K.T.さん)への返信
訪問者(Y.A.さん)への返信
第8回 ハンドセラピィセミナー
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
HAND maintenance studio
hms
訪問者数
プロフィール

阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

ズームバー
ズーム: 100% → 100%

ページ番号
検索フォーム
ご意見はこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

天気予報

-天気予報コム- -FC2-