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2015. 11. 27  
 橈骨遠位端骨折術後のプロトコルについて
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 阿部先生、いつもブログ拝見させていただいております。先日は講習会での貴重なご講義ありがとうございました。
 当院では現在、他院の諸先生の文献等を参考にさせていただきながら、橈骨遠位端骨折術後のリハビリの統一したプロトコルの作成を進めております。

 ロッキングプレート術後では術翌日から手関節の運動を開始出来ますが、個人的な考えとして、骨折時に大なり小なり手関節周囲の軟部組織の損傷はあるのではと考えており、手関節の自動運動は術後1週目以降に開始したほうがいいのではと考えています。しかし、他院の先生方の文献を読むと、各病院によって様々なプロトコルがあり、何を根拠に自動/他動運動を開始するタイミングを設定すべきか非常に悩んでおります。

 質問内容として
 ?術後の自動運動・他動運動それぞれの開始時期について、阿部先生はどのような根拠を基に開始時期を設定しますでしょうか?

 また術後に必ず起こる浮腫の改善の一般的な目安として、
 ?最低限術後この週までに健側比〇%までは改善すべきという目標設定などはありますでしょうか。

 ご教授いただけたら幸いです。よろしくお願いします。
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 ご質問ありがとうございます。

 最初のご質問ですが、K.S.さんは1週間は手関節の自動運動をしない方がいいというお考えですが、この1週間で何を期待しているのでしょうか。「1週間で損傷した手関節周囲の軟部組織は修復される」ということでしょうか。これにも根拠はないと思います。
 
 受傷機転で手関節周囲の軟部組織損傷は多少なりとも生じると思います。当然ながら、損傷組織は修復されますので癒着が生じます。
 リハビリの目的が拘縮予防であれば癒着も予防するか、あっても伸縮性の有る癒着にする必要があります。そのためには早期リハが必要です。

 仮に、重篤な組織損傷があれば整復後の不安定性を認めますので、遅れてリハ処方か、制限付きでの処方となるのだと思います。

 ですから、橈骨遠位端骨折術後のリハビリのプロトコールは目安ですので、すそ野を広くしたものでなく、整復後安定している例をまとめた方が“安定したプロトコール”となるのだと思います。
 そして、シビアな例では、症例ごとにその都度検討を加えていけばいいのではないでしょうか。


 二つ目の術後に生ずる浮腫の改善についてですが、「可及的早期に」としか言えません。
 浮腫に腫脹が混在していることもありますので、浮腫だけにスポットを当てると大切なものを見落とす可能性があります。
 私がブログの中でも強調している腱鞘炎由来のStiff handの合併です。これを見落としてしまうと手指の関節に拘縮を招いてしまいます。
 浮腫を呈している手で自動運動を促すと腱鞘炎が容易に発症してしまう例がありますので、浮腫なのか腫脹なのかを区別するようにして下さい。


 術後療法は合併症対策ですので、プロトコールを考える場合、外傷や手術による合併症を考慮します。
 橈骨遠位端骨折のプレート固定では、何が合併症となるでしょうか。
 浮腫、腫脹、熱感、手指屈伸筋腱腱性拘縮、肩・肘・手・手指の関節拘縮、FPLの筋性拘縮など。
 リスク管理としては、リスター結節部でのEPLの皮下断裂、手根管症候群、腱鞘炎、CRPSなど。
 合併症対策とリスク管理がなされていれば特別な手技は必要とされません。

 橈骨遠位端で考える必要があるのは、手関節の運動の時期も大切でしょうが、荷重関節として捉えた場合の荷重時期だと思います。

 今後、高齢者の絶対数が増えますので橈骨遠位端骨折は増加するものと考えます。
 高齢者の三大骨折は、橈骨遠位端骨折、腰椎圧迫骨折、大腿骨頚部骨折です。これらが合併する例も増えると思います。移動動作、起居動作を考慮すれば荷重をどの時期に入れなければならないかは要検討です。時期だけの問題でなく、関節面の粉砕状態や尺骨茎状突起骨折、TFCC損傷、骨粗鬆症などを考慮しなければなりません。
 私は、手関節は荷重関節としてみておりますし、高齢者であれば立ち上がり動作や移動動作で上肢の支えを考えるべきだと思っております。是非、検討してみて下さい。
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プロフィール

阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

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