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2015. 07. 01  
 手に限らず運動器疾患では、リハビリを通して自分の身体機能の障害を理解し、どのように取り扱うべきかを学ぶ必要があります。その取扱い方の一つに自主トレがあり、正しく理解し正確に実行できることが望まれます。

 人は自分自身の生活を快適に過ごすために身体の機能障害や能力障害を克服し生活の質を高める努力をすべきであり、自主トレとして時間と労力を費やす必要があります。また、症状固定の状態であっても機能低下の回避、代償機能の強化方法なども知る必要があります。

 自主トレを継続的に実施するは、痛みの軽減、しびれの軽減、関節可動域の拡大など、機能障害や能力障害が改善することへの期待があり、この効果を得ようという欲求が自主トレ継続となります。効果を確実なものにするためには、より専門的な知識が必要でありセラピストによる指導が重要であることは理解できるものと思います。

 しかし、予防としての行う運動では症状の実体験がないため継続した運動は難しいように思いますが、第三者の身体的な機能障害を観ることにより自分に生ずるかもしれないということで実施可能な場合もあります。太っている人を見て、太らないようにランニングをするとか、姿勢が悪い人を見て、筋トレして健康的な姿勢を維持するなど。

 同じ予防でも再発の予防では実体験が既にあるため、痛みやしびれが強く、回復に時間を要した方では継続的な運動は期待できます。

 自主トレを日常的に遂行して頂くためには、病態を分かりやすく説明すること、手の届きそうな目標を提示すること、運動内容が対象者にとって現実的であり、単純、容易あることが大切だと思います。

 また、指導後は適時、運動内容を確認し、少しでも自主トレによる効果を認めたなら褒めることも必要です。

 手外科領域の自主トレのメニューには、浮腫の改善、腫脹や熱感の改善、関節可動域の拡大、腱滑走運動、神経滑走運動、脱感作、装具療法、ADLでの手の使用などがあり、対象者によって内容は異なります。

 特に手外科領域では高挙手の徹底は最も重要です。初診時に高挙手による自他動運動にて浮腫の軽減に伴う皺の出来具合を確認し高挙手の効果を確認してもらいます。
 
 腫脹や熱感にはアイシングを施します。私が手外科領域の患者さんを診る際に特に注意しているのが腱鞘炎の存在です。放置すると腱の通過障害を来してしまい痛みや関節拘縮の原因になります。開放創がなければ洗面器に入れた20℃位の冷水で10から20分間冷却します。湿布を使用するより効果的ですので、就寝中や外出時は湿布、自宅であれば冷水と使い分けて指導しております。

 関節可動域の制限に対しては他動運動での可動域拡大が基本となります。他動的に得られた角度を自動的に保持します。繰り返される手指の自動屈伸運動は腱鞘炎が生ずる可能性がありますので私はやらせておりません。
 意外にMP関節の過伸展の拡大はされていないようですが、A1プーリーのストレッチという意味では自主トレメニューでして頂くことの多い運動でもあります。
 対側の手での屈伸運動、スプリント療法にて可動域の拡大を図りますが、まずは単関節の運動からはじめ多関節運動と変化を持たせます。

 自動運動での保持は腱の滑走運動の拡大を期待して行います。腱滑走運動は関節可動域の拡大を図ってから行うようにします。

 提示する自主トレメニューは数が少なく単純であることに心掛けております。高齢の方には「明日まで宿題としてこれだけやってきて下さい」と、一つか二つの運動を指導します。
宿題が多すぎたり、内容が複雑すぎたりすると不十分となりますので、セラピストの目線でなく患者目線で運動内容を吟味する必要があります。

 はじめのうちは機能障害に対する運動指導とADLでの使用制限が中心ですが、術後の経過日数や修復組織の治癒状態、機能障害の改善状態から、筋力強化やADLでの使用時の負荷量の増加へと内容は変化します。

 私が特に繰り返して注意することは、安易な温熱療法、冷却の軽視、繰り返される自動運動です。

 冷却を要する方が43℃のお風呂で入浴していては冷却効果が得られません。逆に血管が拡張して腫脹が増悪してしまいます。お風呂の湯加減にも気を配る必要があります。

 また、冷水での冷却を推奨しておりますが10分間洗面器で冷やすことがなかなか出来なく、水道水で数分冷やした、忙しくて時々しかできなかったとなっている方がおられます。しっかりと冷却の重要性を伝える必要があります。

 私のブログを訪問している方には分かると思いますが、私は腱鞘炎を強調しているセラピストです。身近な疾患でありながら最悪Stiff handになり、CRPSとの診断がつく例も経験しております。

 時々、強迫観念のように手指を屈伸している方を居られますが、正しい知識を提供する必要があります。しかし、セラピストにも腱鞘炎やStiff handに対する理解が出来ていない方もおられます。セミナーでは警笛の如く「腱鞘炎」、「アイシング」、「繰り返される屈伸はさせない」と繰り返してきました。

 自主トレは、患者が自分の手を理解して取り扱えられるように指導し、するべき運動としてはならない運動を理解し実行できるようにする過程だと思います。
 してもらうセラピィも大切ですが、するセラピィがもっと大切だと思います。
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プロフィール

阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

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