2015. 01. 30  
 こんばんは、阿部先生のブログを何度も拝見させていただき勉強させていただいております、ハンド経験2年目のOTです。
 今回先生にお尋ねしたいのは、橈骨遠位端骨折などの患者様の、靭帯や筋肉、腱を始めとする軟部組織へのダメージについての考え方です。

 転倒などによる外力によって橈骨遠位端骨折を起こした際に、合併症としての軟部組織の損傷はどの程度発生するものなのでしょうか?TFCCの損傷はもちろんのこと、掌側・背側の靭帯や腱などにも損傷が及ぶことがあるのでしょうか。また、軟部組織にも損傷があると判断できた場合、手術後早期からのセラピーではどのような点に注意すべきでしょうか?

 今、自分の臨床の中で意識していているのは、ROMを行う際は、軟部組織の損傷から回復していく約3週間の間は、他動による無理な伸張ストレスは極力かけずに、自動運動による練習を中心に行っています。特に術後1、2週目などでは、無理な伸張ストレスが、疼痛によるスパズムを引き起こしたり、伸張反射によって過緊張を引き起こす可能性を踏まえ慎重にリハビリを進めています。
 まだまだ経験が浅く、試行錯誤の毎日ですが、ご指導いただけたら幸いです。よろしくお願いします。



 ご訪問ありがとうございます。
 返信が遅くなったことをお詫びいたします。
 ご質問に対する私なりの回答です。

 Q1)転倒などによる外力によって橈骨遠位端骨折を起こした際に、合併症としての軟部組織の損傷はどの程度発生するものなのでしょうか?
 A)詳細な数は文献検索して調べて頂きたいのですが、舟状月状骨間靭帯損傷を例にとっていえば、手関節鏡での検索で1.8から54%に認められたとの報告があります。少なくはないですね。

 Q2)TFCCの損傷はもちろんのこと、掌側・背側の靭帯や腱などにも損傷が及ぶことがあるのでしょうか。
 A)軟部組織の損傷は多少なりともあるものだと思います。TFCC損傷に関しては手関節鏡で7割に損傷を認めたという文献もあります。
 プレート固定した症例で特に追加手術や長期固定がされていなければ、機能障害が生ずるほどの軟部組織損傷ではないと判断できると思います。念のために担当医への確認、画像の確認は不可欠です。

 Q3)また、軟部組織にも損傷があると判断できた場合、手術後早期からのセラピーではどのような点に注意すべきでしょうか?
 A)担当医に報告し指示を仰ぎます。私であれば関節を固定します。


  K.S.さんの文章の中に、「無理な伸張ストレス」「疼痛によるスパズム」とありますが、リハビリは無理に行いません。我慢できないほどの疼痛は組織損傷を招きます。硬い組織を伸長するには伸長痛は生じるものですが、会話が成立するくらいの疼痛としております。患者さんの顔に痛そうな表情が見えたら強すぎるのだと判断します。無理は所詮無理なのです。炎症反応が生じ腫脹や熱感が生じ、いい結果を得ることが出来ません。
 
  橈骨遠位端骨折と一言にいっても受傷機転が多種多様です。私が確認することはハイエナジーなのかローエナジーなのかということです。脚立や屋根からの転落での受傷ではハイエナジーな損傷ですので軟部組織損傷ありと考えます。比較的男性に多く、両手損傷、合併症も見受けられます。つまずいての転倒であればローエナジーな損傷ですので軟部組織損傷はないか、あっても軽症だという印象があります。しかし、転倒する方は活動的な中年女性に多く、骨粗しょう症で粉砕骨折になる方もおられます。

 K.S.さんに考えて頂きたいのは創傷治癒です。同様な反応と特徴的な反応がありますが、その過程で修復された組織、周囲組織は硬くなります。我々セラピストは硬くしないようにしなければなりません。しかし、コントロールが上手にできないと“無理したり”、“強い痛みで矯正したり”してしまい、炎症反応が惹起され、線維化が生じ、ますます硬くなってしまいます。
 問題意識を持って臨床に携わっておりますので、この辺りを勉強すれば、大きい進歩が得られるのではない可と思います。
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阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
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