2015. 01. 05  
 明けましておめでとうございます。
 昨年同様、今年もよろしくお願いいたします。
 今年は有意注意して患者さんの訴えを傾聴したいと思っております。

 この数年、患者さんに特異的な肢位をとり“快ですか”“不快ですか”と確認してきました。刺激に対する反応を観るのです。特に、胸郭出口症候群では有効ですが、他の疾患でも応用していきたいと思います。

 患者さんからこうすると(症状が)楽になるとか、こういう姿勢でつらくなるなどのご意見を頂きます。なぜそうなるのかを考えていかなければなりません。セラピィへの大きなヒントがあるはずです。

 他医から転院してきた腱鞘炎由来の拘縮手の患者さんは、「手を冷やすと気持ちがいい」と担当セラピストに訴えたそうです。しかし、「そうですか」と聞き流され毎回決まったように42度のバイブラバスと強力な他動ROM運動、繰り返す自動屈曲運動を継続されたそうです。冷やすと“快”ということの意味を考えてくれれば、治療方針が変わったはずです。熱感と腫脹を強く認めたのでとにかくアイシングをしました。アイシングで“快”。熱感と腫脹が軽減して可動域が拡大しました。このような些細なことを大切にする必要があります。これまでアイシングの指示はなく「温めて動かす」と言われ続けてきたそうです。

 日常臨床の中で症状を誘発ないし増悪させる誘発検査と、これとは逆に症状を緩解ないし軽減させる緩解試験を使用していると思います。これらの検査には感度と特異度があり、各検査の特徴を了解して使用しないと本質を誤ってしまう可能性があります。また、検査は診断のためのものであり、これが治療に直結しているものとは限りません。

 定型的な検査ではありませんが各症例において特異的な肢位における症状の誘発と緩解を観ることは、運動器のリハにおいてはとても重要なことだと考えます。
 “台所で野菜を切る動作”つまり、立位での頚部屈曲状態で上下肢に痛み、しびれが誘発する場合にどう考えますか?既往歴、受傷歴を確認し他の誘発・緩解検査も合わせて考えなければなりません。脊髄への緊張が考えられます。それでセラピストとして何をすべきかを考えていかなければなりません。

 この肢位はあなたにとって快(緩解)ですか?不快(誘発)ですか?(当然、どちらでもない場合もあります)と尋ねるだけです。不快であればその症状は普段でも生ずるのか確認します。普段でも生ずる場合には誘発肢位に関連する症状と見なすことが出来ます。特に神経性疼痛か否かを観るのに有効です。

 この快と不快を尋ねることは胸郭出口症候群例での病態把握にとても有効です。
 患者さんの中には、医学的な知識を持ち得ていなくとも経験から不快を回避する方法を習得されている方もおられます。それがセラピィのヒントです。
 不快となる誘発では神経に伸張、圧迫などのストレスが入っていることを示すものであり、快となる緩解ではそれらのストレスの解除を意味します。ですから、ライフスタイルで不快となる姿勢や肢位、動作は回避すべきであり、快となる姿勢は積極的に取り入れていきます。それがセラピィとなります。つまり快が得られる姿勢、肢位を体得するということになります。そのためには筋力を強化し、筋を伸長し、神経の滑走を拡大することが必要になります。

 これまでがそうでしたが、“患者さんに教えを乞う”つもりで、些細な訴えや何気ない会話を有意注意して聞き取り、刺激に対する反応から隠されている病態を推測し、治療の効果を高めていくつもりです。
 (有意注意:意を持って意を注ぐ。目的を持って真剣に意識や神経を対象に集中する。 稲盛和夫「生き方」より引用)
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阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
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