2014. 08. 10  
 手関節伸筋には橈側手根伸筋(ECR)と尺側手根伸筋(ECU)があり、ECRは長手根伸筋(ECRL)と短橈側手根伸筋(ECRB)とがあります。
 ついつい臨床ではECRLとECRBを区分することなく診てしまいますが、これらの停止部の違いや神経の筋枝の位置の相違があり、最近では区別して診るようにしています。
 つまみ動作には手関節の橈屈運動が重要であると言われており、この橈屈作用はECRLの機能があって得られるものです。
 ECRLの皮下断裂例でのつまみ動作では、手関節橈屈不足に対する肩と肘の代償運動が生じております。

 ECRLとECRBは上腕骨外側上顆から起始しますが、ECRLは第2中手骨底背側部にECRBは第3中手骨底背側部にそれぞれ停止します。停止部からECRLが橈背側へECRBは純粋に背屈側への力源となります。
 第2・3中手骨のCM関節は可動性がなく近位手根列と一つのユニットを形成しています。このユニットにECRLとECRB、FCRが停止しており、手の機能の要となっていることは容易に想像できます。

 後骨間神経麻痺に観られる手関節伸展は、ECUが麻痺しますので橈背屈となります。
 破格でECRLが第3中手骨に停止する例もあると言われており、このような例では橈側に偏らない背屈になるためECUの麻痺がないものと判断してしまう可能性があります。
 また、ECRLの停止部が第2中手骨であっても、ECRBだけで背屈することも不可能というわけではありませんので,やはりきちっとECUの麻痺を確認すべきです。

 橈骨遠位端骨折で粉砕が強い例では、創外固定後プレート固定し、2週間ほど手関節を外固定することもあります。早期より指の屈伸筋腱の滑走運動は可能ですが、特に手関節伸筋腱は骨面を滑走床としておりますので腱癒着は避けきれません。癒着が生じますと手関節の機能障害により橈屈や尺屈がスムーズに行えず手の能力障害に反映されてしまいます。骨折では合併症の一つである腱癒着には十分気をつけなければなりません。

 ECRLもECRBは手関節背側でリスター結節橈側に、ECUは尺骨茎状突起にそれぞれ腱の走行が確認でき、表層筋である筋腹は腕橈骨筋のすぐ隣にECRL、その隣にECEBが触診され、ECUは尺骨の骨幹部を指で確認し、その指を伸筋側にちょっとずらすと触診できます。
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阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
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