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2014. 06. 18  
 私は外傷性TOSに対するリハビリではステージに分けて提供しております。
 1th stageでは、腕神経叢を絞扼している斜角筋の筋性拘縮を取り除くことを目的として伸長を図り、拘縮が改善しましたら2th stageとして絞扼されている腕神経叢の滑走を引き出します。
 文献的には腕神経叢の癒着による滑走障害で神経剥離を要するという記載が多いのですが、これまでの臨床経験では時間を要しますが神経の滑走拡大は図れております。

 今回の臨床経験で腕神経叢が斜角筋の絞扼を抜けた瞬間を経験したので報告します。
 外傷性のTOS例です。
 斜角筋の筋性拘縮に対して伸長を図り拘縮が改善されたので、2th stageとして腕神経叢の滑走拡大を図っておりました。段階を経て、手関節を背屈位に保持したまま肘を伸展し正中神経に緊張を加えておりました。この際、斜角筋と手関節屈側の痛みが生じておりました。肘と手関節の角度、疼痛部位から斜角筋での腕神経叢における神経固定効果陽性と判断できます。手関節の屈曲方向への緊張を感じながらも痛みを観ながら十数秒この肢位を保持しておりました。
 前触れもなく急に屈曲方向への緊張が緩んだのを感じました。てっきり患者さんが手指屈筋の緊張を緩めたと思いました。その旨を確認しましたら、頚(斜角筋)の所で「スルー」と抜ける感じがして、頚と手関節の痛みが軽くなったとのこと。

 自覚症状が強くなっておりませんし、神経の脱落症状も新たに追加されておりません。他覚的な変化は神経固定効果が弱くなったことだけでした。とくにチグリングが走るわけでもなく、痛みやしびれが増悪するわけでもなく、「スルー」と抜けただけでした。

 病態からも絞扼されていた神経が牽引されて「スルー」と抜けることは不思議ではありません。
 これまでの例では徐々に滑走拡大という変化でしたので、抜けるというよりは癒着がルーズになり滑走が拡大したと解釈しておりました。
 今思えば、2th stageでのリハビリの例で3例ほど、ある日突然楽になったと言われた方がおりました。恐らくこの方々も「スルー」と抜けたのかもしれません。

 また一歩、TOSのセラピィが明確となり喜びを感じた次第です。
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何とか可視化できないものでしょうかね。そのスルーっというものが。
診断的治療目的のリハオーダーを出すために、もう少し分かりやすい科学的な評価付けをお願いします。
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プロフィール

阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

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