2014. 04. 27  
訪問者(mo-chanさん)からの経過報告

 阿部先生

 お世話になります。1年前に「有鉤骨鉤摘出手術後の尺骨神経深枝麻痺」で相談させて頂き、2003/3/19にブログで返信頂いたmo-chanです。その節は懇切丁寧におアドバイスを頂きありがとうございました。

 前回の相談は「右有鉤骨鉤を疲労?骨折し、骨片摘出手術後に尺骨神経深枝麻痺が生じ、術後3ヶ月経過後も好転せず疑問に思っている」というものでした。

 執刀医の対応に疑問を感じ、また絶対におかしいと感じたため、セカンドオピニオン+自分で手外科で有名な病院を調べ、選んだ所に紹介してもらい5月(骨片摘出術から5ヶ月後)に再手術しました。

 開けてみたら神経は癒着どころか切れていました。豆状骨のごく近く、尺骨神経の深枝分岐部のすぐ近くで切れていたそうで、断端は挫滅し確認できず…前腕内側皮神経を移植し縫合、手首に近い部分が断裂していたため4週間(心配だったので自分で1週間延長)手首をスプリント固定しました。その後は特に制限なく競技復帰可でしたので少しずつ競技復帰してみました。術後の傷がものすごくきれいで、術後6週で手相と変わらなくなり今は本当に手相と見分けがつきません。

 現執刀医からは最初に神経移植の話をされましたので、状況と神経伝導速度検査から断裂していると判断していたと思います。第1背側骨間筋の波形が全く出ませんでしたので(前執刀医は小指側だけ検査して異常なしと判断しました)。

 自分なりに調べて、神経の回復は1日1mm、神経移植した場合はその半分のスピード、更に年齢なども関係するため、自分としては10ヶ月くらいで動き出せばいいなと思っていました。

 11月(術後6ヶ月)になり開いていた小指が少し閉じて水が掬えるようになったのに気づきました。2月(術後9ヶ月)になり人差し指でも指パッチンとデコピン(笑)が弱々しくできるようになり、Froment signも親指の曲がり具合が弱くなったように思います。2指ピンチ力も縫合前に皆無だったのが1kgまで戻りました。筋の収縮が出て来たのでリハビリで指の開閉をやるよう言われています。

 競技の方も何とか復帰しましたが、手首の背屈力は前より弱いですし、たまにこわばった感じがして動きにくい事もあります。血行が悪いのか寒い中ジョギングしたら薬指が痺れて来て真っ白になり怖かったです。でも周囲には手が悪いプレーにはとても思えないと言われているので普通以上に復帰できているのかもしれません。自分としてはまだまだです。

 骨間筋の回復があまり良くなくて、リハビリしても指の開閉力がほとんど戻りません。もしかしたらこれはちょっと戻らないかもしれないと感じています。でももうやれることはやったと考えておりますので、リハビリしながら競技を続けていきたいと思っています。手を怪我したことでできるようになったプレーもありますから、この怪我には何か意味があるし、まだやれる事がある、競技を失わずに済んだ事実に感謝し頑張ろうと思っています。

 骨片摘出で神経を切られた(術前に何もなかったので、状況的にそれしか考えられません)ことは本当に悔しい限りです。有名選手ならこんな事にはならないよう細心の注意を払うでしょうし、手が動かないと言う訴えにもすぐに耳を貸してくれたでしょう。

 阿部先生に相談させて頂いた時にはまさか切れているとまでは思いませんでした。前執刀医に術後ずっと「指が動かない」と訴えていたのに「おかしいなあ、そんなの初めて」「あまり視野が狭くなると治るものも治らない、気にしないことだ」と、まるで私の方が悪いかのように言われた事は多分ずっと忘れられません。でも先生始め、たくさんの方が親身になってくださったのは支えになりました。ありがとうございました。



mo-chanさん、ご報告ありがとうございます。


 不本意な結果、その後の施設や治療の選択など決断に迫られご苦労されてきたと思います。

 この報告から多くのメッセージを読み取ることが出来ると思います。

 患者さんの訴えを真摯に受け止めることの必要性/手術野、操作から想定できるリスクの把握/手術、術後の経過からの病態推測/病態推測を裏付ける評価の必要性/意見を言えるセラピスト・・・。

 セラピストは外科治療を致しませんが、術後療法として外科治療後のリハビリに携わっております。
 経過から「もしかしたら?」というケースも一人や二人は経験されていると思います。その時、どのような行動に走るべきか。今一度考えてみてください。患者さんにとって必要なのは状況説明だと思います。そのためには客観的な評価が必要であり、手術内容と照らし合わせて病態を推測することだと思います。

 mo-chanさんのこの報告を真摯に受け止めていきたいと思います。
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阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

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