2015. 08. 31  
 リハビリテーションには保存療法と後療法というものがあります。
 後療法は、手術後のリハビリテーションのことです。手外科に限らず後療法に関する報告は多岐に渡ります。施設ごとのプロトコールも数多くあります。若手のセラピストはこのプロトコールを覚え臨床で実践しておりますが、今一度、後療法とは何かを考えてみたいと思います。

 簡潔に述べると後療法は術後の合併症対策だと言えます。
 術後に生ずる癒着や拘縮対策です。

 合併症を可及的に予防するには、術後早期からリハビリテーション(術後のセラピィ、後療法)を開始する必要があります。

 術後1週では腱は癒着してしまい、二次的に関節拘縮が生じます。
合併症対策という考えから行くと合併症が生じる前に後療法は開始しなければなりませんので、術後翌日からの開始が望まれます。術直後は痛みや浮腫、腫脹、熱感の軽減に時間を割きつつ可及的に運動拡大を図ります。運動を行うには痛み対策が最も重要になります。

 合併症には主である一次的合併症と副である二次的合併症に分けて考えていく必要があります。

 一次的合併症は、損傷組織、再建組織、損傷組織の周囲組織などの癒着や拘縮、機能不全などが上げられると思います。

 二次的合併症は、高齢者の肩関節の拘縮、自動運動の励行による腱鞘炎、腱鞘炎によるStiff hand、腱鞘炎起因による手根管症候群など、廃用性によるもの、浮腫起因による腱鞘炎などがここに含まれます。
 想定されていれば予防は可能だと思いますが、セラピストが想定していなければ発症してしまうものだと思います。
 
 合併症対策のためには、リスク要因を理解し禁忌事項の厳守が必要です。
 損傷組織の治癒過程を理解することにより、適時、「していい運動」と「していけない運動」をはっきりさせることが可能となります。


 手指屈筋腱断裂に対する腱縫合後のセラピィで考えてみましょう。

 腱縫合後の一時的な合併症は、腱癒着、関節拘縮、筋性拘縮です。
 腱癒着は縫合腱と腱鞘、腱床間での癒着、深指屈筋腱と浅指屈筋腱間での癒着、隣接する浅指屈筋腱との癒着などがあります。
 関節拘縮は、PIP関節に屈曲拘縮が生じやすくZoneⅠ・Ⅱでは拘縮予防が腱滑走の獲得に影響を及ぼすので要注意です。腱癒着により腱固定効果が生じるため、減張位での単関節毎の可動域の維持拡大を図る必要があります。
 ZoneⅢでは内在筋の拘縮を来すことがありますので、骨間筋なのか虫様筋なのかを区別して伸長する必要があります。
 
 二次的な合併症では、自動運動の励行による腱鞘炎、肩関節の拘縮が想定できます。
 
 リスクとすれば、縫合腱の再断裂、皮膚離開、感染などです。
 禁忌事項は、再断裂するような強力な自動屈曲や自他動伸展運動です。


 このようにまとめていくと各手術の後療法がイメージできると思います。これに創傷治癒(組織の修復過程という経時的な変化)を理解していくことにより、より深く、具体的に後療法が実施可能となるものと思います。

 まとめると以下のようになります。
 1)術後の合併症対策(一次的合併症と二次的合併症)
 2)合併症が生ずる前の早期開始
 3)リスクと禁忌事項の理解
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プロフィール

阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

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