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2018. 01. 01  
 「夜、寝れてますか?」

 神経内科系のテキストには、末梢神経障害の症状を“刺激症状”と“欠落症状”とに分けて論じております。とても理解しやすい分け方だと思います。
 整形外科系ではこのような記載はなかったように思います。

 刺激症状は、神経性疼痛、しびれ、脱力感など、
 欠落症状は、筋力低下、筋萎縮、感覚障害などです。

 欠落症状は自覚症状ばかりでなく他覚所見としても観ることができますが、刺激症状は他覚所見が得られにくく自己申告に頼らざるを得なく第3者からの症状認定が困難なものです。
 ですから、この刺激症状に対しては真摯に対応しなければなりません。「経過観察」は慎重にしなければなりません。

 この刺激症状である神経性疼痛は、腱鞘炎やTFCC損傷では運動時痛とは異なり、安静痛をも発します。
 その安静時痛により多くの方々は睡眠が妨げられてしまいます。
 長期間の睡眠障害を想像してみて下さい。
 本人もつらいでしょうが家族も大変な苦労を強いることにもなります。
 ですから、神経疾患の方には「夜は寝れてますか?」と先ず始めに尋ねます。

 (症状)誘発検査と緩解検査から誘発の特性を探り、安楽な肢位を探し出すことを先ず行わなければなりません。

 確定が出来なければ“疑い”でもいいと思います。
 セラピィの効果、姿勢指導の効果、就寝肢位の指導の効果など、効果確認が大切です。

 このように刺激症状で苦しい思いをする方々を診ていると、発症する前の予防が必要と考えます。
 病院勤務では無理な話です。
 飛び出さなければならないかもしれません。


 深大寺の除夜の鐘が聞こえてきました。
 年が明けたようです。

 2017年と締めくくりと思っておりましたが、新年のごあいさつとなってしまいました。

 明けましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いします。
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2015. 04. 24  
 胸郭出口症候群では、上肢の症状、頚・背部の症状、自律神経の症状の3症状を認め、しびれの範囲、痛みの部位、めまいや耳鳴りなどの自律神経の症状により、愁訴が多岐に渡ります。

◇上肢の症状:
 しびれ、痛み、痛しびれ、脱力感
 しびれの範囲は、上腕~手尺側(内側)、前腕~手尺側、手掌面、前腕~手橈側、上肢全体、前腕~手全体、手全体、各指などしびれの範囲は多彩。
 痛みは、上腕骨外側上顆炎やTFCC損傷、デケルバン病、腱鞘炎などを思わせる痛みなど多彩。

◇頚・背部の症状:凝り、痛み
 頚部全外側(斜角筋)の張りや痛み、肩凝り(肩甲挙筋の凝り)、肩甲内側の凝りや痛み(菱形筋)など。

◇自律神経の症状:頭痛、肩凝り、めまい、眼症状、全身倦怠感、吐き気、息苦しさ、胃腸障害、立ち眩み、動悸、手の冷感、耳鳴り、異常発汗、イライラ感

 これらがミックスされますので非定型な症状となりスクリーニングが難しくなりますが、不定愁訴が胸郭出口症候群の特徴と考えますとスクリーニングは容易ではないかと私は思います。

 これまでの胸郭出口症候群で困惑した症状が、ジストニア様の不随意運動、弛緩性麻痺です。最終的には改善しましたがあまりにも多彩な症状があるものだと考えさせられました。


 自己診断
 ①夜間痛(就寝時のしびれや痛みで熟睡できない)
 ②しびれや痛みが姿勢や動作で変動する
 ③洗髪動作やドライヤー使用など腕を上げた動作で腕のしびれや脱力感が生ずる
 ④手提げバックを持つと、しびれや痛みが生ずる
 ⑤なで肩である
 ⑥午前より午後の方が症状がつらい
 ⑦姿勢があまり良くない
 ⑧腰痛があり姿勢をよく出来ない
 ⑨ストレートネックと言われたことがある
 ⑩運動習慣がない
 ⑪過去に交通事故、転倒の既往歴がある
 ⑫鎖骨の上部に痛みやハリ感がある
 ⑬肩甲骨と背骨の間が凝りや痛みがある
 ⑭腕を広げるのがつらい
 ⑮めまいや耳鳴りがある

 胸郭出口症候群の方々の多い訴えを提示致しました。

 胸郭出口症候群は、肋骨と鎖骨の隙間が狭い、なで肩による神経の牽引、外傷による斜角筋の拘縮による腕神経叢の絞扼、腕神経叢の滑走制限が病態ですので、電気治療や温熱療法、マッサージなどの対処療法でなく、病態に即したリハビリが必要です。
2014. 07. 04  
 あるTOSに関する論文でヒステリーとの鑑別を要すると強調されて記載されておりました。私はこのヒステリーとの鑑別という文言に非常に違和感を持ちます。

 TOS例が確定診断されず対処療法のみで病態に即した治療がなされずドクターショッピングしている事実があることを認識して頂きたい。この転々とするドクターショッピングに何のメリットがあるのかということです。つまり疾病利得は何かということです。症状の緩解を望んでのショッピングとしか思えません。

 これまでにも述べてきましたが医療従事者側にTOSに対する理解がなければ診断できません。TOSへの診断に懐疑的なものや、TOSとの決定的な検査がなく除外診断が先決というものもあります。除外診断はとても必要ですが、これに多くの時間を費やすことは如何なものかと思います。主訴も不定愁訴である場合が多く定型的でないのが診断に苦慮することもあります。診方を変えて不定愁訴がTOSの特徴と捉えることも可能です。

 疾患利得では交通事故などによる被害者であれば考えられますが、それでも一掴みの人だけだと思います。示談後、3割負担となっても来院することを考えればそこには疾患利得はないものと考えられます。あるのはTOS症状だけです。

 病態に即したセラピィを施せば少なからず症状の緩解を得ることが出来ます。つまりセラピィの効果を確認できるということです。確認できればそれ自体が病態の証明なのです。誘発と緩解です。
 しかしながらセラピィによる効果が得られなければ、そのセラピィは無効ということになりますので再評価する必要があります。また、別の類似疾患が潜んでいるのか、最終的には神経症的な問題をも含んでいるのかを判断しなければなりません。
 精神科領域の問題と断定する前に身体的問題を完全に否定しなければなりません。
 理学所見だけではなぜいけないのか?ハイテク機器による確定診断も必要ですが、誘発と緩解所見で多くの病態が把握できるはずです。

 一部の医療従事者では、筋萎縮などの軸索障害を呈するTOSをtrue TOS、従来のTOSをdisputed TOSとして区別しているようです。筋萎縮を呈する場合には速やかに神経除圧が必要な状態ですので、この区別はとても大切だと思います。
 しかし、disputed TOSの症例に対してはどのように対処するのかということが明確にされておりません。神経性疼痛やしびれ、自律神経症状など多彩な少々に耐えながらの生活を強いられており能力障害というよりQOLの低下です。この多彩な症状は不定愁訴とも捉えかねませんし、電気生理学的検査で異常を示さないという特徴があり、第3者評価が得られにくい危険性があります。

 TOSとの診断で検査データに基づいた手続きは大切ですが、TOSを完全に否定できない例では、検査的治療としてTOSのセラピィを施し効果判定をすべきです。

 最近では神経症や心身症に対して情報を収集しております。しびれが主訴例で、病態が把握できない例を時折担当する機会があります。『原因不明』と結論付けることは、患者にとっては何の解決にもなりません。特の精神科領域を勉強してきているOTでは、この原因不明を突破することが出来るのではないかと思っております。

 ヒステリーとの鑑別に違和感を持つ私ですが、ヒステリーを含めた神経症を理解しこれを除外できる能力を持ち得たいと思います。
2014. 06. 18  
 私は外傷性TOSに対するリハビリではステージに分けて提供しております。
 1th stageでは、腕神経叢を絞扼している斜角筋の筋性拘縮を取り除くことを目的として伸長を図り、拘縮が改善しましたら2th stageとして絞扼されている腕神経叢の滑走を引き出します。
 文献的には腕神経叢の癒着による滑走障害で神経剥離を要するという記載が多いのですが、これまでの臨床経験では時間を要しますが神経の滑走拡大は図れております。

 今回の臨床経験で腕神経叢が斜角筋の絞扼を抜けた瞬間を経験したので報告します。
 外傷性のTOS例です。
 斜角筋の筋性拘縮に対して伸長を図り拘縮が改善されたので、2th stageとして腕神経叢の滑走拡大を図っておりました。段階を経て、手関節を背屈位に保持したまま肘を伸展し正中神経に緊張を加えておりました。この際、斜角筋と手関節屈側の痛みが生じておりました。肘と手関節の角度、疼痛部位から斜角筋での腕神経叢における神経固定効果陽性と判断できます。手関節の屈曲方向への緊張を感じながらも痛みを観ながら十数秒この肢位を保持しておりました。
 前触れもなく急に屈曲方向への緊張が緩んだのを感じました。てっきり患者さんが手指屈筋の緊張を緩めたと思いました。その旨を確認しましたら、頚(斜角筋)の所で「スルー」と抜ける感じがして、頚と手関節の痛みが軽くなったとのこと。

 自覚症状が強くなっておりませんし、神経の脱落症状も新たに追加されておりません。他覚的な変化は神経固定効果が弱くなったことだけでした。とくにチグリングが走るわけでもなく、痛みやしびれが増悪するわけでもなく、「スルー」と抜けただけでした。

 病態からも絞扼されていた神経が牽引されて「スルー」と抜けることは不思議ではありません。
 これまでの例では徐々に滑走拡大という変化でしたので、抜けるというよりは癒着がルーズになり滑走が拡大したと解釈しておりました。
 今思えば、2th stageでのリハビリの例で3例ほど、ある日突然楽になったと言われた方がおりました。恐らくこの方々も「スルー」と抜けたのかもしれません。

 また一歩、TOSのセラピィが明確となり喜びを感じた次第です。
2013. 08. 06  
 運動習慣病というものは糖尿病や高血圧症、動脈硬化症など内科領域のものが注目されておりますが、整形外科領域においても生活習慣病といえるものがあると言い切っていいと思います。
 手、指の過剰使用で生じる腱鞘炎が最も身近なものでしょう。メンテナンス方法が分からないために病期を進行させてしまいます。

 私が力を入れて診ている胸郭出口症候群も生活習慣病に一つと言ってもいいでしょう。これまで診てきた症例数はもう少しで200例に達します。交通事故などの外傷性胸郭出口症候群を除いた特発性の胸郭出口症候群のほぼ100%は運動の習慣がありませんでした。ですから、問診で運動習慣があり、外傷歴のない例では、胸郭出口症候群と判定する前に他の疾患が胸郭出口症候群を疑わせる症状をカモフラージュしているのではないかと考えます。つまり鑑別診断です。診断は医師が行いますのが評価で得た知見を提供することはセラピストの務めです。

 過去に1例だけ水泳を週3回行っているという方を診ましたが、胸郭出口症候群というより肋鎖間隙での腕神経叢の一瞬の圧迫によるしびれではないかと疑われました。誘発検査ではMorleyテストのみ誘発され、しかも、末梢へ放散する痛みやしびれがない圧痛のみでした。私は経過観察で消失すると思われましたが、胸郭出口症候群の処方が出ましたしので・・・省略。

 このような例はまれであり、まったくの運動習慣がない方々ばかりです。週1回のリハビリ通院と水泳を勧めますが、4人に3人は抵抗を示します。理由は息継ぎが出来なく25メートルは泳げませんということが多くの意見でした。私は25メートルをクロールで完泳しなさいとは言っておらず、3回でも4回でも足を着いて結構ですと説明します。水の抵抗下での筋力強化、肩のぶん回し運動が目的です。そこでようやく理解され水泳に行くようになります。

 十年来の胸郭出口症候群例で、水泳を1日しただけでしびれと痛みが消失した方がおられます。精神的に緊張しがちな方で肩甲帯周囲筋の筋の緊張が強く、クロールに観られる肩の運動で筋緊張が緩んだ結果です。このような方は特別です。

 クロールと平泳ぎで全身の筋肉を全て鍛えられると言われております。運動には多種多様がありますが、胸郭出口症候群の治療の一手段として水泳がベストだと思います。マシーンを使用しての個々の筋を鍛えることは大変です。それに比べて、水泳は25m向こうに見える壁に向かって泳ぐだけで、複雑なことは必要ありません。

 水中には陸上での運動と違った身体への影響があります。水圧、水の抵抗、浮力です。
 水圧に関しては、空気圧の1,000倍ものの水圧が身体にかかり、この水圧により全身の血流の還流が促進されると言われております。
 水中と陸上での運動を比較すると、陸上の12倍の抵抗が水中で得られるとの報告もあります。
 その他に浮力があり陸上の10%の重力となりますし、水温によっては消費カロリーも高くなるメリットもあります。このような効果を得られる水泳を運動習慣とすることにより、胸郭出口症候群は再発を防止することができるものと考えます。
 治療を終えて運動習慣が継続できなかった例で、再発された方もおられます。継続的な運動習慣をお勧めいたします。
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プロフィール

阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

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