2018. 02. 12  
 セラピィの終了間近で何をすべきか?

 腱鞘炎の再発で来院される患者がおります。
 通院時には、自己管理法としての手のアイシング、腱鞘のストレッチを理解し自己管理ができ、症状が緩解したためにセラピィを終了となっておりました。しかしながら、時間と共に自己管理を怠り、複数指の腱鞘炎発症での来院となりました。

 腱鞘炎の多くは手の過使用による発症であり生活習慣病と捉えても間違いないと思います。ですから、日々のメンテナンスが必要になります。

 疫学的にも腱鞘炎になった方は再発しやすく他指にも発症されると報告され、再発防止についての患者指導を行わなくてはなりません。


 私自身、17年前に腱鞘炎で両手の示指と中指の腱鞘を切開しております。未だに、手のこわばり感や熱感が生ずる時があります。手の使用過多で生じますので、腱鞘のストレッチとアイシングは欠かせません。

 後遺症として、腱の浮き上がりから来る腱鞘部の違和感や内在筋プラス肢位を持続したあとの指屈曲困難が生ずることです。このような後遺症は稀だと思いますが出来ることなら手術でなくセラピィで治せるものは治したいと考えております。
 17年間継続した腱鞘のストレッチとアイシングで持ちこたえている感があります。これからも継続していかなければなりません。

 再発例は腱鞘炎ばかりではありません。
 手根管症候群や胸郭出口症候群も再発することがあります。炎症疾患や絞扼性神経障害は再発しないとは断言できませんので、再発を前提に対応することが必要です。

 医療機関に勤務していると予防的なセラピィは出来ませんが再発予防はできます。
 腰痛の治療で著明なマッケンジーは、腰痛は再発するので予防策を指導することが大切だと述べております。

 最終的には患者の自己管理となりますが、自己管理の意味を理解し実行出来れば再発率は下がるものと思います。

 再発予防のための自己管理を継続して行ってもらうためには、簡単な内容で、効果を感じる内容でなければなりません。とても大切なことだと思います。
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2017. 11. 03  
 音楽を職業にしている方、音楽家を目指している学生、セミプロとして演奏している方、趣味で演奏している方など、楽器演奏を日常的に行っている方の手の障害を診る機会が多々あります。
 最も多いのが狭窄性腱鞘炎で、次に胸郭出口症候群です。ジストニアは稀な疾患であり難治性であるため、今後、研究の対象となる疾患です。

 私がこれまでにセラピィを施してきた音楽家と疾患です。
 ギター演奏家の腱鞘炎、胸郭出口症候群。
 バイオリン演奏家のデケルバン病、胸郭出口症候群、肩凝り。
 ドラム演奏家の腱鞘炎、胸郭出口症候群、ジストニア。
 クラリネット演奏家のデケルバン病、手根管症候群。
 トランペット演奏家の胸郭出口症候群。
 ピアノ演奏家の腱鞘炎、デケルバン病、手根管症候群、胸郭出口症候群、ジストニア、腰痛、肩凝り。
 和太鼓演奏家の腱鞘炎。
 演奏家によっては複数の診断が被っていることもあり、全てにおいて介入が要求されます。

 腱鞘炎では、手指の痛み、こわばり、関節の可動域の制限を訴えます。腱鞘炎に合併しやすい手根管症候群も見受けられます。

 胸郭出口症候群では、腕の痛みとしびれ、脱力感、頚部や背部の痛み、肩凝り、めまいや耳鳴りなどの自律神経障害で、演奏自体が出来なく日常生活にも支障が生じる方もおられます。

 手、特に指に限定的に生じるジストニアなのでフォーカル・ジストニアと呼び全身的に生じるジストニアと区別しております。意思に反して指が曲がってしまい意図する演奏が困難となります。


 私が診ている音楽家の方々で共通して言えることは、“身体作り”をしていないということ。演奏前後のメンテナンスをしていないということです。していないというより“するという発想”がありませんでした。

 音楽家の方々には、“自分はアスリートである”という認識がないようです。

 楽器を演奏するための特異的な姿勢、体幹と肩甲帯、頚部の長時間の固定、繰り返される手指の運動。そして、毎日の長時間の練習。まさしく、アスリートとしての身体機能が要求されます。しかしながら意識してトレーニングをされている方は皆無でした。運動習慣がありません。
 演奏を指導される方や学生の方に尋ねるとメンテナンスの方法を卒前、卒後に学ぶ機会は皆無だったとのこと。そういう発想がないとの事。

 アスリート達はどうしているでしょうか?
 ウォーミングアップとクールダウン。
 基礎運動を継続的に行っています。筋力強化と柔軟運動。食事に対する配慮もなされております。

 音楽の学生では期末試験、卒業試験、入学試験のため課題曲を毎日長時間練習する必要があります。体に痛みがあっても試験をパスするために無理してしまいます。

 プロでは、リサイタルやコンサートに向けての長時間に及ぶ猛練習。やはりここでも無理してしまいます。

 無理とは、強行する、頑張りすぎる、オーバーワークする、限界以上に働くということです。身体に負担がかかるということは容易に理解できると思います。

 指を繰り返し運動することにより腱と腱鞘間でのしごきが増大して炎症が生じてしまいます。
 楽器の保持での肩や頚、楽器によっては限局した指に負担がかかり肩凝り、頚肩の筋の過緊張、腱鞘炎、関節痛が生じてしまいます。

 胸郭出口症候群では、特異的な同姿勢で長時間延長することは筋の緊張を強めます。これが習慣的になることにより、腕神経叢に圧がかかり症状が誘発されるようになります。

 医療機関に勤めていると発症してからの介入となりますが、やはり、予防が大切です。
 難しいことはないと思います。体育の授業を思いだしてください。体を育む授業です。
 柔軟運動やランニング、基礎的な筋力運動、ラジオ体操、水泳など。やれることから初めてみては如何でしょうか。
2017. 02. 12  
 セラピィを施す中でとても大切なことは、患者自身がどのような病態にあり、どのように自分の障害手を取り扱うべきかを理解することです。そのためにはセラピスは、「自分が患者を治す。治してやる。」というようなセラピスト主導であってはならず、自己管理方法や自主トレの方法の指導に時間を費やす必要があります。
 
 病態によっては1・2回の治療で症状が緩解することもありますが、半年から年単位を要することもあり、または、セラピィに抵抗を示すため最終的に観血的治療を選択されることもあります。

 私は治療をある意味で“拘束”だと思っています。
 週1回1時間の治療でも患者さんの1週間のスケジュールに半ば強引に入り込みます。来院するためには移動時間や前もっての夕飯の支度、通院手段の確保、仕事の割り振りなど治療とは別の解決しなければならない事柄も多くあります。
 そのような事情があることを医療従事者は想像すべきです。想像することによりセラピィの効果を高めるためにどうすべきか考えるものです。そうすると今回のテーマに立ち返ることになります。
 病態によっては長期間を要することもあり、これらをやり繰りすることは容易なことではありません。ですから、この拘束から患者さんを開放しなければなりません。しかも、治療効果を得ながらにして。的確な自主トレが出来れば通院頻度は少なく済みます。

 セラピストは患者が来院しなければ目的は果たせません。しかし、必要な回数の通院が可能な患者は決して多くはありません。労災や自賠の患者では比較的通院は容易ですが健保では仕事が優先されるため難しくなってしまいます。

 遠方のため通院手段がない、仕事が休めない、介護を必要とする家族がいるからなど、通院困難な理由はたくさんあります。
 しかし、患者側の理由ばかりではありません。セラピスト側の理由もあります。総合病院では単価の高い脳血管障害の予約枠を広げている施設が多いため、手外科の運動器リハの患者は予約が入りにくい、または限定的な回数となっているようです。手外科医から処方が出ても月に数回のリハビリでは術後の合併症は予防どころか有効なリハビリさえ受けられないこともあるのではないかと危惧致します。

 患者が通院して来ないから、予約が採れないからという理由で、拘縮手になっても許されるものではありません。
 
 「退院したら一人では通院できないから、主人か娘に仕事を休んでもらい車で送ってもらわなければならない。」
 「主人が高齢のため免許を返納した。便が悪い所に住んでいるからタクシーで通います。往復で5千円位。」
 手を治すのも容易ではありませんが、通院もまた大変です。

 問題解決は入院中の自己管理や自主トレの徹底指導だと考えます。
 自己管理法に加えリスクの管理もお伝えすべきです。
 併せて、必要なスプリントを作製します。患者によっては複数のスプリントを要しますので、どの時期にどのようなデザインのスプリントを作製するかを検討します。

 “治してもらう”から“一緒に治す”、主役は患者さんです。セラピストが血気盛んに治すものではないものと思います。
2016. 05. 04  
 感覚検査の一つでありますSemmes Weinstein monofilament test(SWT)が、今年度の診療報酬改定で算定できるようになりました。

 『末梢神経断裂、縫合神経断裂または絞扼性神経障害の患者に対して当該検査に関する研修を受講した者が、Semmes Weinstein monofilament setを用いて知覚機能を定量的に測定した場合に算定できる。なお、検査の実施に当たっては、関係学会の定める診療に関する評価マニュアルを遵守すること。』

  「当該検査に関する研修」とは、日本ハンドセラピィ学会が行うSWT講習をさし、評価セミナーでの実技も含まれます。

  「関係学会」とは、日本ハンドセラピィ学会

  不明瞭な点もあります。上記の文言に手または上肢という部位が記載されておりません。また、PT・OT・医師との文言もありません。例えば、DM性末梢神経障害の足をSWTした場合はどうなるのか?医師も講習会に参加するのか?片手で280点を算定できるのか?CTS両側例では280点×2になるのか?月に何回の算定が可能なのか?・・・・。

 不適格な算定は避けなければなりません。
 ①障害度の評価:障害範囲を調べる検査
 ②経過の評価:回復状況を調べる検査
 ③実用性の評価:視覚的フィードバックがない状態で機能するかを調べる検査
 ④再教育の適応の評価:感覚の再教育を行う時期を確認する検査

 各施設がきちっとしたルールに従って実施し、継続的な算定が出来るようにしてもらいたいです。
2012. 11. 05  
第25回日本ハンドセラピィ学会学術集会の開催案内

会長:藤原英子(第一東和会病院)
会期:2013年4月20日(土)から4月21日(日)
会場:神戸国際会議場 メインホール(神戸市中央区港島中町)
テーマ:スポーツ疾患におけるハンドセラピィの現状と役割
定員:500名
HP:http://meeting25.jhts-web.org/
演題締め切り:11月末日


 今回はスポーツ疾患をテーマとしております。ハンドセラピストが日常臨床で経験するスポーツ疾患は骨折、靭帯損傷、腱損傷、末梢神経損傷と多彩ではあると思いますが、特別講演として肘部での損傷とTFCC損傷を、シンポジウムではそれらのセラピィについて発表の予定と聞いております。
 また、日曜日のポストミーティングでは「ハンドセラピィ技術の伝承」として、肘関節、前腕・手関節、手指に関するセラピィの実演と実習を予定されております。
 ちなみに私は、特別講演の座長としてセラピストが日頃考えている、疑問に思っている内容を講師の先生から引き出して、実りのある講演の裏方を務めさせていただきます。

 演題の申し込みが11月末までとなっております。スポーツ以外の演題でも結構ですので、勇気をもって演題を申し込んでください。
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プロフィール

阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

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