--. --. --  
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2015. 10. 15  
 私は臨床の現場でいつも患者さんに尋ねることがあります。
 「この治療はあなたにとって効果的ですか?」
 角度計や握力計のような物差しで測定できるものであれば客観的な数値で変化を追うことが出来ますが、痛みやしびれ、こわばりといった物差しでは測定できない症状に対しては患者さんからの率直な意見をもらうしかありません。

 外傷性胸郭出口症候群の方では、なかなか症状が緩解しない方もおられます。
 外傷性胸郭出口症候群における腕神経叢は、筋性拘縮の斜角筋により絞扼され神経の滑走が制限されます。肩や肘、手関節の運動により腕神経叢は伸張され症状が誘発されます。
 まずは斜角筋の筋性拘縮を取り除く必要がありますが、これに半年から1年かかる例もあります。しかも、この過程での症状の改善は半分以下です。腕神経叢の滑走制限が解除されないと症状は完全に改善しません。
 私が「かなり斜角筋が緩んできた」と判断しても患者さんは「治療効果がない」と判断してしまいます。
 ここで必要なのが病状説明です。
 この病状説明で理解を得なければ途中でリタイヤしてしまう可能性があります。避けなければならない事実です。
 胸郭出口症候群は治る疾患だと考えております。私の経験では最長で4年、多くが1年から1年半でした。この長期にわたるリハビリで患者さんと効果を確認していくことがどれだけ大切なことか。

 治療の効果を確認するのは胸郭出口症候群だけではありません。

 手が腫れている例では、浮腫なのか腫脹なのかを区別する必要があります。
 前者であれば高挙手。後者であればアイシング。二者とも温熱療法は禁止。
 外傷性の正中神経障害例や手指屈筋腱断裂の例で手が腫れて際に、自動運動がままならない時期なので浮腫と判断して高挙手をしていても効果がない。A1プーリーの圧痛を認めて腱鞘炎を疑いアイシングをすると腫れが引くことがあります。


 効果判定は毎回のセラピィごとに行うか、週単位で行う必要があります。これを怠ると効果のないプログラムを淡々と行ってしまうことになります。
 効果がないのは、病態が把握されていない。病態に対するセラピィが的外れ。症状固定などが考えられます。

 特に他施設で加療されていた患者さんが来院されたとき、前施設のやり方を継続される方がおられますが、一言、「それは効果的でしたか?」

 「治療効果がない」治療は継続する必要があるのか?
 「悪くなっている」治療は継続する必要はあるのか?
 答えは、いいえです。

 患者さんは効果的な治療を受けたいし、セラピストは効果的な治療を提供したものだと思います。だからこそ、率直に「この治療はあなたにとって効果的ですか?」と聞けるセラピストになるべきだと思います。
スポンサーサイト
2015. 03. 06  
 生活習慣病と言えば糖尿病や動脈硬化症などを想起されるかと思います。
 ハンドセラピィの領域では、腱鞘炎と絞扼性神経障害が生活習慣病の範疇に入る疾患だと常々考えております。
 生活習慣病ですので生活習慣の是正で予防できるものと考えたいのですが、そう簡単にはいかないような気がします。
 健康診断のように予防的な立場からの検診がありませんので、発症前にスクリーニングができません。発症していないので自覚症状もなく診断名が付けられません。発症してから診断名が付き治療の対象となります。
 産業医が労働者環境に手を加えて、腱鞘炎の発症率を下げたという報告がありますが、個人レベルではそうはいきません。

 自覚症状がなくとも他覚的所見がある例があります。
 例えば右手のしびれで受診し手根管症候群の疑いで神経伝導速度検査をしてみると、自覚症状のない反対側の左手でも短母指外転筋の終末潜時が遅延しているということは珍しいことではありません。この段階では治療の対象とはなりません。
 スプリント療法とした場合、経時的に神経伝導速度検査で経過観察をしますが、症状のある右手に対しての定期的な治療効果の確認であり、左手に関しては比較するための参考値を得るために測定しているだけです。しかし、左手がどのような状態に推移できているかは把握できます。
 仮に、左手にスプリント療法を進めても自覚症状がないため固定する煩わしさから拒否される可能性が大です。自覚症状が出てからの治療となります。

 正直、運動器リハでは自覚症状がない者に対しての運動指導は、本人の健康管理に関する興味の度合いにより受け入れ態度が決まります。

 非外傷性の胸郭出口症候群例では、姿勢不良と肩甲帯周囲筋の筋力低下が腕神経叢に圧迫、牽引を引き起こし症状が誘発します。治療は姿勢矯正と筋力強化、併せて運動習慣を身に付けてもらいます。運動習慣を身に付けるということは再発予防の観点から重要と考えております。胸郭出口症候群の方々は再発予防に対する運動習慣については意外と受け入れてくれます。症状がつらかったのだと思います。運動習慣を身に付け健康志向を高めることが大切です。
 姿勢は本人の意識付けと筋力が不可欠です。医療機関での治療が終了したからと言って、自らのメンテナンスを怠れば、いずれは再発する可能性があります。現に再発される方を数人経験しており、再発した方々は日々のメンテナンスを止めていました。

 腰痛に対する腰椎伸展運動のマッケンジーも、再発しないように腰椎の前弯を維持することを強調し、患者教育がなにより大切であるとなると述べております。

 ですから、私は運動器リハでは予防的な運動指導というより再発予防という観点に立っての運動指導に意味があるのだと思います。

 腱鞘炎は、基本的には使いすぎが原因でありますが、単純に腱鞘が炎症しているケースから、全身疾患の影響による腱鞘炎で難治例となるケースもあります。

 また、外傷に起因する手指の拘縮例では腱鞘炎に起因する例もありますが、腱鞘炎を見過ごしたままリハビリを継続しても効果は得られません。この腱鞘炎の合併はハンドセラピィのpitfall(落とし穴)といっても過言ではありません。

 症状が改善しても再発することは珍しくなく、まさに、生活習慣病ですね。
 ですから、腱鞘炎をしっかりと理解して日々のメンテナンスが大切なのです。熱感があればアイシング、浮腫んでいれば高挙手、こわばっているなA1プーリーのストレッチを自分でする。

 私も多くの患者さんを診た日は手のこわばりが生ずることがあります。ちゃんとメンテナンスを入れておけば、翌朝には症状が消失しております。
 自らの弱点を知り、自らメンテナンスを行い、機能障害が生じないようにする必要があります。

 だから、HAND maintenance studioなのです。
2012. 12. 04  
 「150日超えたのでリハビリを終了させられました。」
 「150日超えたので終わりにしましょう。」
 この150日超えをどのように考えればいいのでしょうかと尋ねられることがあります。

 私はどうしてここまで150日に呪縛されなければならないのか分かりません。
 症状固定で次の手がなければ終了となることは了解されると思います。しかし、セラピストがきちっと責務を果たす必要はあります。機能障害の症状固定は残っても能力障害を残さないようにする必要があります。

 手外科領域では、症状固定に対しては関節受動術、関節固定術、腱剥離術、神経剥離術、腱移行術により機能の再建を図ることは可能です。

 運動器リハビリテーションに関しての説明ですが、
 「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において,別に厚生労働大臣が定める患者に対して個別療法であるリハビリテーションを行った場合に,該当基準に係わる区分に従って,それぞれ発症,手術又は急性増悪から150日以内に限り所定点数を算定する.」

 「ただし,別に厚生労働大臣が定める患者について,治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合その他別に厚生労働大臣が定める場合には,150日を越せて所定点数を算定できる.」
 とあります。
 この下線の別に厚生労働大臣が定める患者とは、「治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合.」であると説明されております。

 ですから、150日でリハビリは終了となるものではなく、”セラピィの効果が得られる患者”に限っては継続してもいいのです。

 症状固定では継続できません。

 拘縮手、末梢神経障害では時間を要するものです。
 他医で橈骨遠位端骨折の保存療法で腱鞘炎由来のStiff hand例では、出来上がった拘縮を除去しつつ腱鞘炎に対するセラピィでは長期間のセラピィが必要となります。

 外傷性のTOSでも、斜角筋の緩みに時間がかかることがあり、緩みを得てから腕神経叢の滑走運動を引き出す必要がありますのでこれも時間を要します。早期に結果を出そうと思うとどうしても腕神経叢への伸張刺激を強くし症状が増悪したり、施行後にめまいや気分不快を強めてしまいますので、患者の状態を観ながら強弱をつけなければなりません。

 このようにセラピィの効果を得られている限り、月13単位と制限付きですが150日を超えていても症状が安定するまでセラピィに専念できるのです。

 そのためには、担当医にきちっとセラピィの効果を理解してもらわなければなりません。その努力をセラピストは惜しんではなりません。
2011. 04. 22  

 今、P.F.ドラッカー著のマネジメントを読み始めているところです。
 まだ、読み終わっておりませんのでマネジメントとは何かは分かりません。私にとって新しい分野ですのでなかなか理解できなく読み進めるのに苦労してしまいます。

しかしながら、自分の業務に置き換えながら読んでみると考えさせられることがあります。
 
このマネジメントの本から一部引用して、私たちセラピストの本来あるべき姿を再認識してみましょう。

 

マーケティングは顧客からスタートする。すなわち現実、欲求、価値からスタートする。「我々は何を売りたいのか」ではなく、「顧客は何を買いたいのか」を問う。「われわれの製品やサービスにできることはこれである」ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。

 

顧客だけが、財やサービスに対する支払いの意志を持ち、経済資源を富に、モノを財貨に変えるからである。しかも顧客が価値を認め購入するものは、財やサービスそのものではない。財やサービスが提供するもの、すなわち効用である。

P.F.ドラッカー著、上田淳生編訳:マネジメント.ダイヤモンド社)

 

どうでしょうか?医療組織も企業として捉えてもう一度考えてください。

 

 我々にとって顧客はだれになるでのでしょうか?

 

セラピストは患者さんが満足するために何をしなくてはならないのかを考える必要があります。患者さんはある欲求やニーズを持ち、それらを満たすために医療機関を訪問されます。“受診”とは欲求が行動になったものです。その点を理解して下さい。

 

医療サービスというセラピィに対してお金が支払われます。それは、継続して通院していくと手の動きが良くなるだろう。痛みが良くなるだろう。しびれが消えるだろうという期待があるわけです。

一度、損傷が加わった組織が損傷前とまったく同じ機能には回復することはまれです。可能な限り使える手として、日常生活や仕事へ復帰させることが私たちに求められております。

そうなりますと、患者さんたちはセラピィに対してお金を支払っているのではなく、セラピィの結果に対して支払っていると解釈していかなければなりません。このことを強く意識しませんとスキルは上がりません。

 

今日、患者さんに施したセラピィはどうだったでしょうか。

未来に向けて今日があります。今日がなければ未来はありません。ゴールに向けて今日やらなければならないことはやれたのでしょうか。

これは、私自身に対する自問自答です。

このことを日々の臨床で意識することはとても大切です。知識も必要です。他のスタッフからの意見も必要です。難しいのは自分が知らない未知な領域を知るということです。

 

もう一度、セラピストにとっての顧客は誰なのか?

 

処方箋を出す医師も顧客だと考えます。

他医からの紹介でもそうです。セラピィへの期待があります。期待に沿うことが出来なければ処方箋は来なくなります。

セミナーの懇親会で話したOTが「処方箋が来なくなって干されています」と嘆いていた方がいました。実情は分かりませんが、顧客への満足、つまり、医師から処方された患者さんに対して結果を十分に出せたのかとも考えられます。その結果、処方箋が出なくなった。ただそれだけです。

 

我々は、患者さんへセラピィを提供すればいいということでなく、結果を出すためにセラピィは手段に過ぎないことを理解すべきです。結果です。
2010. 11. 30  
 手術療法に対となる位置づけに保存療法があります。私のブログでは混乱を招くためあえて“手術療法を施行しないでセラピストの手技を用いての治療”とさせて頂きます。つまり、徒手的療法・装具療法でありセラピストが行なえる範囲と致します。
 どうしてこのように保存療法こだわるのかと言いますと、セラピィ(therapy)は治療であり、症状の緩解・消失を目的にセラピストの知識とスキルにて行なわれる行為だからです。そこにはセラピスト独自の世界があります。患者さんに向き合うセラピストの構えこそが本質だと思うのです。常に、問題意識があり、恒常的探究心があり、理論的推論、文献的考察が備わっていることが必要なのです。
 病態の本質を理解するためには評価が重要です。それらを元に保存療法での治療効果の有無を判断し、効果ありと判断される場合には治療が開始されます。しかし、確定診断や効果判定の予測が明確でない場合には期間を決めて試行する場合もあります。
 手の拘縮に対する保存療法では、拘縮の鑑別が不可欠であり拘縮因子に対してセラピィが施されます。それにより2次的に発生している拘縮が改善され、1次的な拘縮が手術適応となることもあります。
 胸郭出口症候群(TOS)では、「保存療法に抵抗を示し患者が希望すれば手術適応」となっております。このように表現をされている論文を皆さんも読まれ事はあると思います。ここでいう保存療法は何を意味しているのでしょうか? 質の高い保存療法で症状の緩解が得られなければ手術を選択するということは理解できますが、質が保証されない場合には保存療法に抵抗するとは言えないと思います。
 手根管症候群(CTS)は、診断は容易ですが病期分類には神経伝道速度検査が必要です。これにより治療方針が決定されます。せっかく診断されたのに経過観察をしたばかりに症状増悪する例もあります。保存療法(装具療法)か手術療法かを決定することが不可欠です。また、保存療法として低周波や温熱療法を行なう場合があるようですが、私自身、それを支持することは出来ません。CTSという病態を把握する必要があります。
 保存療法の難しいところは評価にあります。治療テクニックに走ってしまいますと思考が停滞してしまいますし、緩解は得るものの完治が望めないことがあります。評価は治療に直結しておりますので、評価を進めていく過程で何が治療として必要なのかが思いつきます。常に行なっている評価を再度定義つけていく作業が必要となります。
HAND maintenance studio
hms
訪問者数
プロフィール

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

ズームバー
ズーム: 100% → 100%

ページ番号
TOTAL Pages 2
検索フォーム
ご意見はこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

天気予報

-天気予報コム- -FC2-

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。