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2017. 01. 09  
 神経損傷についてわかりやすくまとめて頂いていて大変助かっております。1点わからないところがありましたので、教えてください。

 最後の下線部に

 つまり、受傷直後であれば応答収縮を認める可能性がありNeurotmesisと判定してしまいますので、必要あれば10日後に再度検査する必要があります

とありますが、受傷直後に応答収縮が認められる場合はNeurotmesisでは無く、Neurapraxiaという理解で正しいでしょうか?

お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いいたします。




 ご質問ありがとうございます。
 2010年12月10日のブログ記事ですね。

 NeurotmesisとAxonotmesisは軸索断裂、Neurapraxiaは脱髄です。軸索断裂では断裂部位(損傷部)より末梢でWaller変性が生じます。このWaller変性は断裂直後にぱっと変性するものではなく10日前後の時間を費やし変性すると報告されています。 つまり、軸索障害直後はNeurapraxiaと同じように応答収縮が生じます。
 NeurapraxiaでもNeurotmesisでも受傷直後は受傷部より遠位部では支配筋の応答収縮が認められます。時間の経過によりWaller変性が完成し応答収縮が認められなくなるのがNeurotmesisです。


 ある前骨間神経障害例です。
 発症翌日に受診されました。長母指屈筋、示指の深指屈筋のMMTが「0」でしたが、長母指屈筋と方形回内筋の複合筋活動電位は導出されました。しかし、2週後には複合筋活動電位の振幅幅が低下しており、伝導ブロックと軸索障害が合併した状態と判定できました。
 この2週間にWaller変性が生じ振幅幅が低下し、軸索再生には時間を要するだろうと推測できます。


 もう少し説明をすると、
 以前に読んだ文献でマッチ棒の太さの神経幹内には1000本の軸索があるとのことです。出所が不明ですので参考までにしておいて下さい。
 この1000本の軸索が全て断裂し変性するとは限りません。混在する不全麻痺もあります。
 ちなみにNeurapraxia、Axonotmesis、Neurotmesisは、軸索1本の状態を示しておりますので1本の神経幹を指しているものではありません。

 神経幹伝導検査は応答収縮を視診するので客観的な数値は出せませんが、複合筋活動電位を導出できない環境にいるセラピストにとっては力強いツールの一つです。
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2016. 11. 03  
 阿部先生。先日は丁寧にご回答頂きありがとうございます。

 右手しびれとMPのこわばりを訴えていた主婦の者です。
 先生のブログを拝見してからストレッチ、家事も極力控え鍼治療も行きながら若干痺れは和らいだ感があります。ただ右手親指の母子球上側?あたりにポコっと5ミリくらい骨ばった部分が手を開くと見えます。こんなに骨が見えていただろうか?と不安に思っています。指をつけて手の平を見るとそれなりに母子球はふっくらしているのかな…とも感じていますが…。

 右腕を上げると手のひらに響いたり胸郭出口症候群を疑うような症状もありますが整形外科からはビタミン剤以外の加療はありません。

 加えて9月入ったあたりから利き手ではない左手の親指と人差し指の手の甲側の筋肉が痩せたような感覚があり左手は親指が使いにくいと思っています。
 鷲手とはいえないような様子ですが以前に比べてOKサインが綺麗に作りにくいです。
 尺骨神経は検査しても悪くなくこの手の違和感はなんなんだろうかと一日中考えてしまいます。

 ドクターからは痛いならトラマール、痺れるならリリカと言われましたがそれは根本原因にアプローチしていない気がしています。

 今後神経内科に行った方がよいのでしょうか。
 手の状況を直接お見せしないまま質問してとても恐縮に思っています。
 ただ近隣の手外科数件も行きましたが様子を見ましょうとの回答で疑問が残りました。
 私が気にしすぎなのでしょうか。

 なんとかして治したい一心でメールさせて頂きました。何か助言頂けましたら有難いです。
 どうぞよろしくお願い致します。
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 前回教えて頂いた横向きになって手の痺れが悪くなるか?についてですがあまり変わらない気が致しました。

 ただ歯科治療中、一度左手指全て痺れ出したことがあります。肘はそんなに曲げていませんでした。痺れがいつ増悪するかがあまり再現できませんが右手挙上で肩が音が鳴り手の平に血液が逆流するような感覚があります。
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 返事が遅くなりすみませんでした。
 数件の医療機関を受診されて様子を観ましょうとのことですが、診断名は同一の内容だったのでしょうか。診断がつかなければ治療になりません。
 納得できる説明が欲しいですね。
 実際に手を拝見しておりませんので問題解決には限界があります。私の意見では何も解決できないものと思います。
 手根管症候群と腱鞘炎の印象がありますが、神経内科の受診もありだと思います。
 これまでの経過をお伝えし、納得できる説明がなされないと率直に伝えてみては如何でしょうか。
2016. 09. 29  
 件名:手根管症候群・腱鞘炎術後補足
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 迅速に対応いただきありがとうございます。

 検討事項の補足ですが、他医手術に関する事項は、諸事情により確認が取れません。

 確認点に関しましては、

 ○手根管症候群との診断は確かなのか? 診断の根拠と鑑別診断

 対象者本人の情報からは、確かに正中神経支配領域の手掌と指末梢にしびれがあり、特に夜間痛がひどかったこと、親指が特に動きにくかった、こと、現時点の評価ですが胸郭出口症候群の鑑別テストは陰性(モーリー・アドソン・ライトテスト)、円回内症候群の誘発テストも陰性、ということで、手根管症候群もしくは腱鞘炎からくる手根管症候群様症状と考察しています。


 ○手根管開放術は的確なものなのか?効果的なものなのか?

 ここに関しては詳細な情報と知識を持ち合わせていませんが、本人様の情報から、術後は1ヶ月以上激しい痛みと腫脹が続きほとんど動かせなかったこと、そこから癒着などの進行は予想でき、その状態で指のしびれや運動制限、腫脹も軽減しないため、半年以上経って腱鞘炎に対する切開術を実施したことろ、しびれと腫脹は劇的に改善したが(むきには現在も軽度あります)、運動制限と可動域制限は残存している状況です。


 ○手根管症候群の病状は? 短母指外転筋のMMTは? 正中神経領域の感覚障害の有無は?

 フィラメント等を用いた詳細な感覚検査は行なえませんが、著明な感覚障害は認められず、痺れなどの異常感覚はありません。短母指外転筋のMMTは2、他動可動域は橈側外転が40°、自動運動域は30°で若干ラグがあります。


○術後の後遺症として、関節可動域制限、屈筋腱滑走制限、正中神経滑走制限の有無は?

 制限は上述の橈側外転制限と、母指IP関節の他動屈曲が45°、他指は可動域制限を認めず筋力は弱いもののほぼフルレンジ自動運動が可能です。


 ○腱鞘切開後の該当腱の滑走状況は?
 
 母指以外は手関節背屈位での指全伸展が可能で、遠位方向への滑走は問題なく、底屈位での自動屈曲も可能なことから滑走状況には問題は少ないと考えていますが、評価方法がこれで正しいか自信がありません。母指は運動制限や自動運動能の低下がある状況で、滑走状況の鑑別評価の知識が乏しい状況です。


 ○疼痛部位は圧痛のみで運動時痛はない?

 可動域ないの自動運動では痛みはあまり目立ちませんが、母指球内側と手根近位中央部には著明な圧痛を認めます。軽く押す程度で飛び上がりそうなぐらいの痛みです。痛みを感じる範囲は限局しています。

 ○母指の運動制限の原因は関節拘縮? 腱癒着? 筋力低下? 疼痛性?

 最終域感はそれほど硬い印象はなく、腱癒着と疼痛性が混在しているものと考えております。自動運動は手掌外転・対立可動域は保たれていますが自動運動はほぼ行なえません。


以上、現況で評価できている部分を補足いたしました。
また不足な点などございましたらアドバイスを含めご教授くださいますようお願いいたします。




 再訪問、ありがとうございます。
 前回と今回の文章から思うことは、評価の不足です。一筋縄でいかない症例の様で、私も戸惑ってしまいそうですが、評価が出来ないとセラピィが片手落ちとなりますので頑張って評価して下さい。

 キーワードが「手根管症候群」、「腱鞘炎」です。

 手根管症候群は絞扼性神経障害に属し正中神経の機能障害が生じます。また、正中神経は手根管内の内圧上昇にて圧迫を受けますので、内圧を上げる原因がそこにあります。滑膜の腫脹です。滑膜が腫脹すると腱の滑走を妨げたり痛みを発したりとします。

 腱鞘炎は狭窄性腱鞘炎ですので腱鞘の狭窄による症状が主です。こわばり、ばね指を含めた腱通過障害、痛みです。
まずは、これらをしっかりと評価しなければなりません。

 手根管症候群における正中神経の機能障害は、短母指外転筋の筋力低下と母指から環指橈側のしびれまたは感覚障害、それによるつまみ動作の能力低下です。

 短母指外転筋のMMTが「2」とありましたが、最初のメールでは母指の自動外転・屈曲・対立がほんのわずかしか行えないとあります。MMTの評価の仕方まで言及してしまったら話が先に進みませんが、短母指外転筋の筋収縮は確実にありますか。

 感覚障害もしかりです。感覚テストは感覚障害を認める例に限って行うものではありません。
 例えば、前骨間神経障害では感覚神経に障害は生じません。運動神経のみの臨床像です。ここでは“感覚障害がない“ということを証明するためにきちっと感覚検査(SWT)を致します。曖昧ですと診断が不確実となります。
この症例では、「著明な感覚障害は認められず」とありますが、末梢神経障害例ではフィラメントを使用したSWTできちっと表示する必要がります。

 手外科領域の症例を少しでも担当する機会があるようでしたらSWTは実行できるように準備しておく必要がります。
 
 「手根管開放術後、激しい痛みと腫脹が続いていた」とありますが何が推測できますか?
 ①術後の影響による手根部腱鞘の腫脹と手指屈筋腱の滑走障害。
 ②不十分な手根管開放。
 ③神経損傷。

 ①ですと、手・手指屈筋腱の癒着による手関節と手指関節の自他動伸展と自動屈曲に制限が生じます。また、長母指屈筋腱や浅指屈筋腱の分離運動も制限されます。

 ②ですと、局所的に正中神経に圧がかかり痛みとしびれが強くなり正中神経の機能低下となります。

 ③では、術操作時の神経損傷です。手根管開放では掌側枝や半回枝の走行に破格があり誤って損傷させてしまう例があるようです。
 
 「腱鞘炎に対する切開術でしびれと腫脹が劇的に改善した」とありますが、なぜ劇的に改善したのでしょうか。ここでいう腱鞘炎に対する切開術は、どの部位の手術だったのでしょうか。
 結果論としてではなく、手術には目的があります。しびれと腫脹を取り除くためにどのような手術をされたのでしょうか。

基 本的なことですが、症例が訴える「しびれ」とは何を表現しているのかということです。治療者と非治療者間での共通言語と思っていたら大きな間違いです。患者さんの中には、痛みやこわばり感、運動障害なども「しびれ」として訴えてくることが多々あります。
 「しびれ」という意味合いを確認する必要がります。私たちが理解しているピリピリした異常感覚を指しているとは限りません。腱鞘切開でしびれが劇的に改善するとは思えません。こわばり感、痛みをしびれと称して述べておりませんか。

 「むきには現在も軽度あります」の“むき”とはなんですか。

 母指球内側と手根近位中央部の圧痛点。
 とても痛がる、軽く押す程度で飛び上がりそうなくらいの圧痛点があるようです。
 まともではありませんね。神経性疼痛が強く疑われます。
 手根部の感覚障害の有無を知りたいですね。
 掌側枝の損傷とは考えられませんか。手根部の感覚を支配する枝です。やはりSWTは必要ですね。

 ところでこの症例の主訴はなんでしょうか?
 機能障害の改善であれば、改善できるものと出来ないものを明確にする必要がります。

 他医から来られた症例の多くは、納得できる説明がなされない、治療効果が得られない、逆に症状が増悪したなど、前医に対する不満が転院の理由です。
 転院した理由を確認し、同じことを繰り返すことなく、どのような症状で、どのように診断され、どのような治療(観血的、非観血的)が施され、効果があったもの、効果のなかったもの、増悪したものを知る必要がります。申し送りがない場合には、症例からの情報をもとに推測していくしかありません。
2016. 09. 26  
件名:手根管症候群・ドゥケルバン腱鞘炎術後の方のリハビリ
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 はじめまして。

 病院でOTとして勤務しております。病院の特性上あまり手の整形疾患の方のリハビリオーダーは少ないのですが、今回手根管症候群と腱鞘炎術後の方が外来でリハビリを行うことになりました。

 症状の解釈と対応について質問させていただいてもよろしいでしょうか?

 2015年9月に他院にて手根管症候群に対し手根解放術を、弾発指に対し腱鞘切開術を実施しましたが、腫れと手指運動制限が持続し2016年5月に腱鞘炎に対し腱鞘切開術を実施、その後特別なリハビリは行わず、2016年9月に当院受診されリハビリが開始となりました。
 2度目の手術から4か月が経過していますが、現在は腫脹は軽度、握力は低下しており母指は自動外転・屈曲・対立ともにほんのわずかしか行えません。しびれなどの感覚の問題は明らかではないですが、手のひら側の手根部、横手根靭帯部分、特に母子球内側にとても強い圧痛があります。
 わずかの圧迫でも強い痛みが出現します。痛みは圧迫部位のみで放散痛はありません。

 母指運動制限と圧痛について、今考えられる原因と対応についてアドバイスいただけないでしょうか?

 突然のお願いで恐縮ですがご教授くださいますようどうぞよろしくお願いいたします。
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 ご訪問ありがとうございます。

 件名で『手根管症候群・ドゥケルバン腱鞘炎術後の方のリハビリ』とありますが、おそらく、1回目の手術で手根管症候群に対する手根管開放術と示指から小指のいずれかの弾発指に対する腱鞘切開術。2回目の腱鞘炎に対する腱鞘切開術とありますが、ドゥケルバン病に対する腱鞘切開術と推測します。

 他医での手術の場合、「診断は間違いないか」、「手術は確実であったか」、「後療法は何をしてきたのか」を確認する必要があります。

 T.S.さんが確認すべき点
 ①手根管症候群との診断は確かなのか? 診断の根拠と鑑別診断
 ②手根管開放術は的確なものなのか?効果的なものなのか?
 ③手根管症候群の病状は? 短母指外転筋のMMTは? 正中神経領域の感覚障害の有無は?
 ④術後の後遺症として、関節可動域制限、屈筋腱滑走制限、正中神経滑走制限の有無は?
 ⑤腱鞘切開後の該当腱の滑走状況は?
 ⑥疼痛部位は圧痛のみで運動時痛はない?
 ⑦母指の運動制限の原因は関節拘縮? 腱癒着? 筋力低下? 疼痛性?

 メール内容からではアドバイスは困難です。
 疾患、病態、治療(手術と保存療法)、術後の合併症、リスク管理、創傷治癒など、多方面からの考察が必要です。

 確認できた範囲で結構ですので、再度、メールください。できれば、T.S.さんの考察も含めて・・・。
 
2016. 09. 20  
 件名:手の症状についてご相談させてください。
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 初めまして。
 半年ほど悩んでおります手の症状についてメールさせて頂いております。
 36歳女性、子どもが4人います。

 今年の3/22炊事中、右手親指、人差し指に痺れを感じました。前々日2歳の子どもに肋骨を蹴られ痛みがあったことからその展張痛かと思っていました。
 1件目の整形外科で胸郭出口症候群と診断、リハビリをしていましたが痺れは中指にも現れ出しました。その後自分でも調べた結果、手根管症候群ではないかと思い3件目の整形でチネル兆候があるものの腱鞘炎も混ざっていると診断されました。
 特に固定指導はなく大胸筋をほぐすことを言われ数ヶ月続けていましたら今度は左手の親指付け根の違和感、右手の平のこわばりが現れました。
 その後、手の専門医に受診しました。
 神経電動検査は末梢潜時、左3.38 右3.12 MRIも浮腫みがひどくないため様子を見ることになりました。(何かの値も60以上と言われました)固定指導はありませんでしたが自分で購入した装具で夜間固定、カーパルソリューションというテーピングも行いました。
 3月に手根管症候群ではないかと気が付いたとき右手親指の付け根は左よりも小さかったです。
 ただ専門医は大丈夫…とお話されました。


 質問です。

 このまま安静にして痺れ、こわばりは取れていきますか?
 自覚症状としては両手とも第二関節がピリピリ痛んだり、右手は手の平を伸ばすとメリメリっと指の付け根に違和感が走ります。
 3年前双子出産から手を酷使したこと、ホルモンバランスの乱れか生理再開がなく更年期のような状態です。手の症状がホルモンバランスの回復で改善しないものかと思っています。
 産後の手の症状は突発性でしょうか?
 右手こわばりが強く先生のおっしゃるA1プーリーのストレッチを行いたいのですが説明図の載った著作はございますか?
 九州在住ですが一度ご指導頂きたいと切に願っています。
 手が使えなくなって家事、育児、仕事全てままならず夢も途絶えたような心持ちでこの半年過ごしています。できるならば日々の努力で手術は避けたいと思っています。
 お忙しいところご一読下さってありがとうございます。ご教授頂けましたら幸甚です。



 ご訪問ありがとうございます。
 子育て、家事、仕事と慌ただしい生活での手の障害は大変つらいものだと思います。
 生理が再開されていないのが気になります。婦人科で相談なさっているのでしょうか。エストロゲンとイソフラボンの化学式が類似しているので豆腐や納豆など大豆系の食品の摂取を推奨する論説もありますが、だからと言って大量に摂取するということではなさそうです。

 安静にしていればしびれやこわばりは治るかということですが無理です。というより、子育てと家事、仕事では安静にしていられないと思います。

 しびれを治すためには病態を明らかにする必要があります。しびれは神経の悲鳴。どこかで圧迫または緊張で阻血状態となっていての異常感覚です。つまり診断をはっきりつけなければなりません。

 利き手の右(?)母指から示指、中指としびれ、反対側もしびれて、腱鞘炎症状、そして、生理がない、育児に翻弄となると、腱鞘炎と手根管症候群だと思われます。
 神経伝導速度検査の終末潜時ですが(流れから短母指外転筋の終末潜時だと思います)、この数値から異常なしとは言えません。私がこの検査をする際には短母指外転筋に貼付した皿電極から直線で50㎜の正中神経直上に電気刺激を入れます。他施設では70㎜と統一されておりませんので、ご提示された数値の内容を読み取ることは出来ません。この数値が境界線以内だからと言って手根管症候群を否定することはできません。手根管症候群の10%では電気生理学的検査で異常を示さないと言われており、症状と理学所見を考慮して判定するようにしております。

 極端な話ですが、手根管症候群ではない方に観血的治療として手根管開放術をすることは許されないでしょうが、非観血的治療としてのリハビリを試しに行う“試行”して効果判定をすることはとても重要と思います。
 ある程度症状が進行した手根管症候群の診断は容易ですが、極めて軽症な例では診断が難しいものです。手根管症候群の可能性があるならば夜間固定をしてみて効果判定する必要があります。

 先日も手根管症候群を疑って検査した腱鞘炎由来の硬い手の方は、結論から言いますと胸郭出口症候群でした。
専門的な話になってしまいますが、整形外科領域での診断のための痛みやしびれを誘発させる誘発検査があります。症状が誘発されれば病的な意義があり、誘発されなければ正常となります。私はこの誘発検査も必要ですが緩解試験を重視しており、特に胸郭出口症候群例では緩解試験で陽性とならない例では、胸郭出口症候群と断定せず疑いとしております。

 胸郭出口症候群と診断されリハビリを行っているようですがリハビリの効果がなかったようです。実は胸郭出口症候群ではなかったのか、または病態に即したリハビリではなかったのかのどちらかでしょうか。

 私は腱鞘炎が手根管症候群を引き起こしているのだと思っております。
しかしながら、これまで経験した中で、腱鞘炎と手根管症候群によるしびれと痛み、硬い手と思われた例が、手根管症候群でなく胸郭出口症候群による痛みとしびれ、腱鞘炎によるこわばりと硬い手であった例を複数人経験しております。

 まずは、一度、横になって下さい。
仰向けですね。
この時、両腕は体側にリラックスして置いて下さい。動かさないで3分。

 如何ですか?
 しびれが横になる前より強くなっていれば肋鎖間隙鏡による胸郭出口症候群が強く疑われます。しびれの度合いが変化しなければ肋鎖間隙の狭小は否定されます(鎖骨と第1肋骨の隙間が狭くなることにより腕に行く神経が圧迫されしびれが強くなります)。


 腱鞘炎対策です。
 熱感があるようでしたら洗面器に20℃前後の水を張り手首まで入れて冷やします。10分後、手背部と手掌部が同等に冷えるまで冷やしてください。腱鞘炎が強い方ですと、手掌部位はほんのりと熱がこもっておりますので、ちゃんと冷えるまで冷やしてください。

 A1プーリーのストレッチです。指には3つの関節があります。尖端から1番目がDIP関節、2番目がPIP関節、3番目がMP関節といいます。MP関節は掌の中にあります。MP関節にA1プーリーがあります。MP関節を反らしてそれをストレッチします。
 指1本ずつストレッチして下さい。出来れば90秒。

 日常生活での使用状態を検討して下さい。特に、家族が多いと食器が多いものです。食洗機があれば、1日3食の食器洗いから解放されます。
 いかに家事を簡略化し、手抜きをして、手の負担を少なくするかを考えてみてはいかがでしょうか。
HAND maintenance studio
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プロフィール

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

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