2017. 07. 01  
件名:剥離手術の件

 何度もしつこく申し訳ありません。
 最初のお返事ではリスクが高いのに、なぜ手術をしたいのかと言われているようなニアンスでとってしまっていました。でも昨日のメールを拝見したところ、良い病院と良いセラピストさえいれば良くると言うことでしょうか?

 ただそうは言っても、私たち素人には、せいぜいインターネットで実績や口コミを見ることぐらいしかできません。
 実際に今回もインターネットで探し〇〇大学病院の手外科の先生に手術をして頂き、その後の経過が良くなかったのでセカンドオピニオンで多くの実績をもつとの○○の○○先生を訪ねました。
 そこでも、当初は紹介状がなければ診ていただけないとか他の病院で手術をしている患者さんは一般的には受け入れはしていませんとの事でしたが、知り合いの先生に何度も頭を下げて、ようやくその先生を通しリハビリを受けられるようになった次第です。それでも実際には自分が希望するリハビリの先生にはついては頂けなかったりで週 2回仕事を早退させて頂き職場から病院まで片道2時間、病院が終わってから家まで1時間半かけて半年間通いましたが納得のいく結果が得られていません。残念ながら多くの人は良い先生やその後の確実なリハビリを受けられる病院を見つけることも大変難しく、更にその中で希望する先生に担当して頂けることなど本当にラッキーな人は一握りだと思います。

 でも、少しでも希望が持てるのであれば。
 もし、情報をいただけるのであれば、良い先生とその後のリハビリを確実にしてくださるセラピストさんがいらっしゃる病院を教えて頂きたいのですが。
 ○○県の○○市に在住します。術後リハビリに通院可能な場所が好ましいです。私自身がイ ンターネット上で探した中では、手外科の先生で実績を積まれているのは、このお二方でした。
 そして作業療法士の先生となると、これはなかなか普通の人では、情報もなくわかるものではありません。もし情報がいただければ幸いなのですが先生の立場上、難しいでしょうか。
 交通事故での扱いと言うこともあり治療が終了と言うわれる前に自分自身、納得のいくお話を伺えるところがあればと思います。
 本当に失礼なメールを毎日送ってしまい申し訳ありません。

 件名:追伸
 現在の先生がリスクがあると言う理由に、はじめに手術をした先生のそれぞれの感覚の違いと言うものがあるので、縫い方や強度は実際に開けてみないとわからないことであり剥離をすることによって緩みが出てしまうこともある。その場合、物が掴みづらくなると言うことも起こり得ると言う説明でした。
 それに対して手術をした先生は、この先ずっと使っていく中で多少の緩みが生じてくるのでその分も計算して強めに縫い付けてあるとお話ししていました。しかしながら剥離をすると言う事は、また癒着が生じると言うことで、よほどのリハビリが必要になり場合によっては今以上、不自由になることが予想されるので僕は手術をすることは勧めないと言っておられました。かなりリハビリを頑張っても多少の癒着は避けられないと言うことで劇的に変わると言う事はまずないとおっしゃっていました。後は今の現状に自分が慣れていくしかないのだと。




 再再訪問ありがとうございます。
 先ずは、活字のみでの情報提供ですので実際に見せて頂かなければ現実的なお話が出来ないことをご理解下さい。

 私は現状より機能を上げるためには覚悟が必要だと思っております。
 医師もセラピストも、そして、患者さんも。

 「手術すればよし!」とは考えないでください。
 手術後には動的な創傷の治癒過程があり癒着は避けきれません。癒着を最小限にするために後療法(セラピィ)をしっかりと行う必要があります。術後の手厚いリハビリです。
 ですから、癒着が完成してからリハビリを長期間行っても限界があります。

 通院しやすい医療機関の紹介を希望されておりますが、全ての条件が整うとは限りません。
 何が優先されるのか考えて下さい。手を治すなら仕事を調整する必要がありますし、仕事の調整が出来なければ手術はしない方がいいと思います。“何もしない選択肢”ですので何も変わりませんが後退もしません。
 治療に専念できるかということであり、仕事をしながら治療に専念することは十分ではありません。

 手術後の手は外科的操作による合併症が生じます。その合併症対策がハンドセラピィと言っても過言ではありません。通院が出来ないからと言って自己管理として責任転嫁するものではありません。やはり専門家であるセラピストが管理すべきと私は考えております。ですから、Mさんが今後手術をするならば待機手術ですので仕事を調整し一定期間治療に専念してほしいのです。

 覚悟があるようでしたらお知らせください。受診をして頂く医療機関をお知らせいたします。
 ブログを通してのやり取りはこれで終了と致します。次回はMさんに直接メール致します。
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2017. 06. 26  
:腱剥離手術の件
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 お忙しい中、早々にご丁寧なお返事ありがとうございます。
 端折った説明でしたので詳しく伝わらなかったかもしれません。

 実は〇年〇月右手首を骨折。治癒して通院終了になった矢先に、・・・略・・・腱を断裂してしまいました。
 最初に受診した病院ではレントゲンで所見がないので、痛い痛いと言っていたにも関わらず親指も動かないと訴え続けるも、ただの捻挫と診断され1ヶ月経過。
 心配でたまらず〇病院の手外科の先生へ。年末のギリギリでしたが即、手術をしていただきました。術後は、腫れと手のツヤ感が一向に治らず再断裂の心配もあると言う事から、ひと月近く固定をしておりました。しかし固定を外した後も自分でリハビリを頑張るようにと言う事だけで、治療を終了されそうになったので、少しの期間で良いので、きちんとしたリハビリを受けさせてほしいとお願いし、週2回〇の方に手のマッサージをしていただいていました。
 しかし・・・略・・・専門的に手のリハビリが出来る作業療法士さんのいる病院を紹介していただきました。そして、〇月の後半からその病院で作業療法士の方に・・・略・・・リハビリを受けるようになりました。
 担当は、・・・略・・・でした。ただ腫れやしびれはすっかり良くなっています。
 長くなってしまいましたが、こんな経過があり結局、今見てくださっている先生は手術をした先生ではないので「自分がやった手術ではないので賭けのようなものだ。」とおっしゃっています。(先生そのものは、かなり腕のいい先生だと言う評判ではありますが。)
自分自身、納得がいかないので手術をしてくださった方の先生にもお話を伺いましたが、〇病院の先生のほうは「よほどのことがない限り、剥離の手術は私はしません。全く動かなかった指が曲げ伸ばしができる様になっただけでも、十分じゃないですか。多少不自由はあるかもしれませんが後は、それに自分が慣れることです。」とおっしゃっていました。
 どちらの先生も選択肢としては剥離手術もありますが、やらない方向でいいんじゃないんですかといった感じでした。
 私も仕方がないのかなぁとは思いますが、手の甲の癒着部分を左手でつまみ上げると面白いほど気持ちよく右の親指と人差し指が動くので何となく諦めきれないでいます。一生この手と付き合っていくのかと思うと時々悲しくなります。
 毎日、午後には疲れて手首から肘にかけての筋の痛みが出たりするので辛かったりもしています。
 来月もう一度だけ受診をし、そこで終了にしましょうかと今の担当の先生がおっしゃっていました。その際、もう一度リスクについてお話を伺ってみようと思いますが、阿部先生のメールを拝見したところ、やはりそれなりのリスクも大きそうですし先生のような熟練された沢山の経験のある作業療法士さんがついていて下さるなら別ですが術後の再癒着もかなり心配ですので(今以上に不自由になってしまうともっと困るので) このまま慣れるしかないのかなぁともちょっと思い始めています。何分、利き手なので。
わかりづらい文章で申し訳ありません。



 詳細なご返信ありがとうございます。
 私には他の医師が手術された手を手術しない理由がわかりません。

 他医から紹介された長母指伸筋腱の再々断裂例に対して、私が勤務施設の医師による再々縫合後のセラピィを経験しましたが健側と同等の腱滑走を獲得しております。

 確かにリスクはあると思いますが、痛みがなく動きが悪い手でしたら慣れるのでしょうが、動きが悪く痛みもある手であれば慣れないのだと思います。

 私は多くの症例を診てきて、究極は“痛み”と“しびれ”を取り除くことだと思います。
 腱剥離と確実なセラピィを提供してくれる医療機関を探した方がいいように思います。

2017. 06. 25  
件名:腱剥離手術について

 もっと早くこのブログに出会えていたらと思います。
 なんと腱が断裂しているにもかかわらず、通院中の医師からは捻挫と診断され別の医師にかかるまで1ヵ月以上放置されてしまいました。
 右手の親指の伸ばす方の腱が断裂していました。
 昨年暮れ急いで人差し指からの腱移行術を受け、その後、作業療法士によるリハビリを週2回半年間続けてきましたが、癒着がありつっぱり感が辛い状態です。
 何とか親指と小指はくっつくようになり、親指と人差し指で物も摘めるようにはなりましたが、ちょこっとした動作でも凄く指が突っ張ることがあります。例えば小銭入れから小銭を取るとか、その小銭を自動販売機に入れるなどの作業はとても不得意になってしまいました。
 医師からは半年間リハビリを続けてきたが、これが限度だと言う話です。
 残された選択肢は、剥離との事ですがリスクと天秤にかけたら動かない指がこれだけ動くようになったのだから、後は不自由を他で補いながら慣れていくしかないと言われました。
 ただ、リスクを覚悟で手術を受けるのであれば、良くなることも無きにしにあらずと言われ、とても悩んでおります。剥離手術をするのであれば、今の段階でやらなければいけないと言われていますが、自分では判断しきれないのでアドバイスをいただきたいと思いご迷惑かと迷いましたがメールをさせていただきました。



 ご訪問ありがとうございます。
 非常に悩んでいる様子ですが、手術を受けるためには大いに悩むべきです。
 担当のセラピストはなんと言っているのでしょうか?
 患者さんの不安を払拭するのもセラピストの役割です。腱剥離後のリハビリはセラピストとMさんの共同作業となります。セラピストの考え方が術後成績に大きく影響されます。

 長母指伸筋腱の皮下断裂に対して示指伸筋腱の腱移行術は一般的な再建方法です。

 腱縫合後の癒着は極自然な成り行きです。癒着すると機能障害が著しくなり、Mさんのようにつまみなどの能力障害を被るためにリハビリにて癒着を最小限としなければなりません。

 Mさんの縫合した腱は腱癒着しておりますので腱癒合は確実に得られているものと思われます。
 癒着した腱には毛細血管が入り込んでおりますので剥離するということは毛細血管が切れて出血します。主要な細い血管は焼きますが全てを焼くことは出来ません。出血した血液は血餅となり腱の滑走の妨げになり腱の滑走を十分に行わないと癒着してしまいます。徐々に出血はしなくなり吸収され再癒着のリスクも減ってきます。それまでの間、しっかりとリハビリをしなければなりません。腱剥離後の2から3週間が勝負だと思って下さい。拘縮があれば別ですが腱に限っては長期戦ではありません。

 腱剥離の際の腱の状態がとても重要です。
 一般的に剥離後の腱の状態が健康的であれば再断裂の心配がなくセラピィを頑張ることが出来ますが、不健康であれば再断裂の可能性があります。

 つまり、腱剥離の一番のリスクは再々癒着であり、次に縫合腱が不健康であれば再断裂です。

 剥離するのは医師であり再々癒着しないようにするのは患者さんとセラピストです。セラピストは剥離腱の操作を理解して腱滑走を施し患者さんに自己管理(自主トレ)方法を指導し励まし不安を取り除きます。これらのどれかが不十分ですと剥離した腱は癒着します。
 私は担当セラピストの強い後ろ盾が必要だと思っております。

 

 最後に、Mさんの腱移行後の腱癒着に対する剥離で、なぜ、それほどまでリスクを覚悟で手術しなければならないのか不思議です。何がリスクなのかを分かりやすく確認したすることをお勧めいたします。

 何かありましたら、再度訪問して下さい。
2017. 06. 07  
 件名:前回ご質問させて頂いた患者さんについて。
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 3月に腱鞘切開術をされた患者さんのことについてご質問させて頂いたものです。
 ご丁寧にお答え頂き、ありがとうございました。

 前回ご質問させて頂いた患者さんについてですが、阿部先生のご意見を参考にさせて頂いて、今現在は腫脹や発赤が出現しなくなり、肘関節内側の叩打痛や術部周囲(中手骨頭)と示指の痺れが消失しました。
 手指の可動域制限は現在は見られておらず、自動運動も行いやすくなってきました。

 しかし、術部である、示指の腱鞘部(中手骨頭)の圧痛が現在も持続している状態です。手指を屈曲する際は、自動運動でも他動運動でも疼痛は出現せず、伸展運動では、最終域のほうで圧痛のある部位と同じ部位に伸張感と違和感があるという訴えもあります。
 圧痛や違和感がある部位は、触診すると硬くなっている感覚があります。
 私は、術部が治癒過程であり、腱の滑走がうまくいっていないのではと考えております。

 患者さんの現在の主訴としては、圧痛があるために、何か物を持つ時や手を着いた際に術部が当たるって出現する痛みを失くしたいとのことなので、よろしければ、阿部先生のご意見をお聞かせ頂きたいと思っております。

 よろしくお願い致します。



 ご訪問ありがとうございます。
 2017年3月27日の「訪問者への返信」のブログですね。
 改善傾向にあり嬉しく思います。
 やはりセラピストの喜びは患者さんの機能改善、症状改善ですね。
 

 文面から、
 「手指の可動域制限は現在は見られておらず、自動運動も行いやすくなってきました。」とありますので、腱の滑走には問題はないように思います。

 考えられるとしたら、化膿していたことによる過剰な瘢痕形成だと思います。
 すでに慢性期になっているようですので、健側と比べてMP関節の過伸展が制限されているようであれば持続的な伸長が必要だと思います。また、超音波治療器があれば伸張前に施行した方が望ましいです。

 可動域制限がなければ創部の閾値の低下が考えられますので、自制内での圧刺激を入力していき、慣れてきたら(閾値の上昇)徐々に圧刺激を挙げてみて症状の変化を確認して下さい。

 私自身も腱鞘切開を行い術後の痛みが持続しておりましたが「ヒルドイドソフト」で寛解しております。
 担当医と相談してみて下さい。
2017. 05. 04  
 件名:右肘痛に悩んでいます
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 はじめまして。

 右肘痛が治らず、現在行なっている治療が合っているのか心配になり、ご連絡させていただきました。
 卓球を職業としており、1ヶ月ほど前に試合中に右肘に痛みを感じましたが、そのまま試合を続行しました。
 その後、中指を動かした時や手のひらを上方向に動かした時、夜間寝ている時も痛み、時に痺れているように感じています。

 次の日、上腕骨外側上顆炎と診断され、2度の注射を行い、先週、MRIでECRB断裂と診断で体外衝撃波をレベルマックスで受け、その後5日間安静日間しました。
 主治医に痛みは引くはずなので、今週、練習は再開してもいいと言われましたが、なかなか痛みが変わりません。
 このまま練習再開してもよろしいでしょうか?
 来週に試合があるため、なんとか早くプレーできるようにしたいと考えております。
 この治療法でよろしいでしょうか?
 また何かよい方法はありますでしょうか?

 お忙しい中、申し訳ございませんが宜しくお願い致します。



 返信が遅くなりました。
 アスリートの方には時間的ゆとりがないのが一番の問題です。

 体外衝撃波治療の経験がありませんので調べてみました。
 
 体外衝撃波治療には二つの目的があります。
 一つ目は、痛みを発している病変部の自由神経終末を破壊しての除痛効果です。自由神経終末は痛みを感ずる感覚受容器です。この受容器の機能を壊すことにより痛みを感じさせなくします。

 二つ目が、腱の修復(再生)です。衝撃波により損傷部には新たに毛細血管が伸びてきて損傷組織を修復してくれるようです。

 衝撃治療は複数回行われるようですが、除痛効果は1回目の照射から認め、その後、徐々に軽減するようです。


 そうしますと、M.T.さんでは除痛効果が得られていないようです。
 除痛効果が得られない理由を考えなければなりません。

 衝撃波の照射部位がずれていて自由神経終末が破壊されなかった可能性と実は外側上顆炎でなく別の類似疾患の可能性が考えられます。

 外側上顆炎では、まずは装具療法が選択されると思います。肘外側のECRB起始部の負荷を軽減するためにテニスバンドを装着します。また、前腕伸筋群のストレッチや筋力増強の併用も必要と思います。

 稀ではありますが、この外側上顆炎との鑑別の一つに橈骨神経由来の疼痛も考えておく必要がります。「夜間寝ている時も痛み、時に痺れているように感じています」とあり神経性の疼痛を疑ってしまいます。


 再診して効果がないことを相談するか、セカンドオピニオンとして他施設の医師に相談されることをお勧めいたします。
 痛みは身体から発せられる警告だと思います。痛みを無視しての運動継続は避けるべきです。
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プロフィール

阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

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