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2016. 11. 24  
 上肢帯には肩関節、肘関節、手関節、MP関節、PIP関節、DIP関節と複数の関節があり、単関節に可動域制限が生じている場合、隣接する関節の影響を受けていることもあります。また、手関節の背屈制限に伴う手をつく動作が制限されているケースでは、頚部の向きによっても影響を受けることもあり、頚を含めた上肢帯全体を評価する必要がります。

 関節可動域の拡大を得るためには、初めに単関節の可動域の拡大を図ります。
 画像を確認し、強直や関節裂隙の狭小、関節内骨折などの関節包内の損傷状態を観ます。関節包内の損傷がある例では、関節可動域の拡大は短期的には改善しますが長期的には制限が生じてしまいます。このような例では関節可動域の拡大が有益なのかを検討すべきです。

 単関節での可動域の拡大は、筋腱の影響を取り除くために“減張位”で行います。手指であれば複数の関節を対象としますが、時間を要しますが個々の関節で丁寧に行うことが肝要です。


 次に、筋腱の滑走性を拡大するために2関節、3関節と複数の関節を操作しての可動域の拡大を図ります。
 腱では腱滑走の拡大、筋では筋伸縮の拡大です。
 キーワードは腱固定効果陽性です。腱の癒着、腱の通過障害、筋性拘縮などが列挙されます。

 腱滑走の拡大は自動運動と他動運動を組み合わせます。屈筋腱では自動屈曲と自他動伸展運動、伸筋腱では自動伸展と自他動屈曲運動です。

 筋性拘縮では筋の伸張だけを図るのではなく収縮と伸長、つまり筋力と柔軟性を作ります。筋硬結を認める際には、マッサージなどで解してから伸張します。伸長は起始停止と筋腱の走行を考慮して行います。

 この関節、筋腱の可動域の拡大は日常臨床で当たり前にやられていることですが、もう一つ考慮すべき組織があります。末梢神経です。

 末梢神経は深部組織に固定されず関節運動と共に滑走したり伸張したりします。
腱のように滑走するわけではありませんが、関節運動により緊張が増すと緊張勾配を無くすように全体的に緊張部に滑走し緊張勾配を解消しようとします。何神経のどの部位を近位または遠位に滑走するかで肢位は異なります。神経の緊張には頚椎の運動も参加します。同側側屈では減張、対側側屈で緊張となります。

 神経の伸張は筋のように伸長もされます。筋の場合には伸長痛が生じ痛みに合わせて時間をかけて行いますが、神経の場合は、しびれや痛みが誘発される場合には伸長が強すぎるので加減しなければなりません。また、症状誘発とは神経の阻血を意味しますので伸長時間は長くとも10秒程度に留めなければなりません。症状誘発を無視して長時間行いますと神経麻痺となります。この点に関しては、同じストレッチでも筋と神経とでは区別しなければなりません。

 痛みやしびれを訴える例では、神経の滑走が妨げられている例が多く見受けられます。手根管症候群や肘部管症候群など絞扼性神経障害でも神経の滑走が制限されます。

 神経の滑走制限は神経固定効果の有無で確認していきます。
 筋短縮や筋硬結は触診で、腱癒着は腱固定効果で明確に知り得ることができますが、神経固定効果、可動域の制限としびれと痛みの誘発と緩解で評価します。

 神経固定効果陽性では筋のように伸長するのではなく滑走の方を拡大します。中には、伸長させなければならない症例もありますが、ほとんどの例では滑走の拡大で十分です。

 このように関節の可動域の拡大には、関節自体、筋腱、神経の滑走状態を評価することが大切です。私はこの神経滑走を取り入れたことにより、より多くの症例の症状緩解に貢献できたものと自負しております。
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2014. 05. 17  
 拘縮手を診る際には拘縮の鑑別により拘縮の病態を把握します。「硬い手」とは素人でも分かることです。拘縮に対する治療手段の一つとして関節可動域運動(ROM ex.)が施されますが、“病態に即したROM ex.(セラピィ)”が施されなければ治療効果を得ることは出来ません。
 この病態に即したROM ex.を行うには、評価としてROMを測定し現状把握をする作業と拘縮の責任病巣を探る拘縮の鑑別作業が必要です。

 基本的なことは自動運動と他動運動のROMの差を観ることだと思います。

 ゴニオメーターで関節角度だけを測定しても病態を把握することは出来ません。しかし、現状のROM把握と治療効果を確認するためにも角度の測定は不可欠です。

 他動ROMは、個々の関節がどれくらい可動するかということであり、角度(°)で表記されます。純粋にこの関節の可動域はどれくらいなのかということですので、後に述べるように筋腱の影響を受けない減張位での単関節ごとの測定となります。

 自動ROMは、腱の滑走、筋の伸縮や筋力などの力源となるものの機能が反映されます。自動では腱の滑走距離や筋の伸縮幅、つまり“移動距離(㎜)”を関節の角度(°)に置き換えているということを認識する必要があります。
但し、自動でも他動でも共通して生ずる制限の原因には“痛み”がありますので、最終可動域時のVASの併記も必要です。

 手・手指の関節も肩関節も股関節も基本的な関節の構造(形態は異なりますが)は一緒ですが、手では“多関節筋腱”という特徴的な構造を有しております。筋腱の起始停止の間に複数の関節が存在するので、腱癒着や筋拘縮があると隣接関節の肢位によりそれより末梢の関節は影響を受け、ROMが制限したり拡大したりします。これが腱固定効果です。

 例えば、MP関節の伸展拘縮を呈した症例がおりました。
手関節、MP関節の伸展が不能な下垂手、つまり上位型の橈骨神経麻痺です。橈骨神経麻痺でどうしてMP関節伸展拘縮なのかということです。

 考えてみてください。橈骨神経麻痺でどうしてMP関節伸展拘縮となるのか?

 答えは、良肢位保持がされていなく(下垂手を放置)、手関節屈曲で固定され、深指屈筋と浅指屈筋による手指の自動屈曲により、指伸筋は緊張が増し(腱固定効果+)、MP関節は伸展位に固定され、結果、手関節の屈曲拘縮と指屈筋の筋性拘縮、MP関節の伸展拘縮が生じてしまいました。

 MP関節の屈曲角度を拡大するには、先ず手関節の伸展を得る必要があります。手関節の伸展角度が得られれば指伸筋腱に緩み(ゆとり)が生じますので、伸筋腱が緩んだ分MP関節は屈曲しやすくなります。手関節伸展保持のスプリントも必要になりますし、手指屈筋の伸張を図っていきます。
仮に、手関節の伸展を図らないでMP関節の屈曲だけにセラピィを施しても、関節受動術をしても効果は得られません。

 このように隣接関節の肢位により末梢の関節が影響される病態が腱固定効果となります。ROMを評価するには、手関節・MP関節・PIP関節・DIP関節の単関節の純粋な可動域を確認しますが、腱固定効果の影響がないように減張位にて測定します。

 先のMP関節伸展拘縮例では、手関節を可及的に他動伸展することにより指伸筋腱を減張させMP関節を他動屈曲し屈曲角度を測定します。手関節屈曲位では指伸筋腱の緊張要因が加わりますので、純粋なMP関節のROMを測定することはできません。

 個々の関節の他動ROM測定後に腱固定効果があるかどうかを確認します。この際、徒手的操作により屈・伸筋腱を減張位、または緊張位としてROMの変化が生じるかどうかを観て行きます。

 減張位は、屈筋腱に対しての減張位は他動屈曲、伸筋腱に対しては他動伸展です。
 緊張位は、屈筋腱に対して自動屈曲または自・他動伸展、伸筋腱に対しては自動伸展または自・他動屈曲です。
 例外として、例えば深指屈筋の解剖学的な特徴である中・環・小指では筋を共有しておりますので、中・環指を伸展位にすることで小指では減張位となります。

 治療としては、減張位を図りながら単関節の他動ROMを拡大させ、筋の筋性拘縮を呈する場合には他動運動による緊張位で伸長し、自動運動による緊張(抵抗運動含む)で収縮させ筋の振幅幅を拡大します。

 このように関節拘縮を観る際には、自動と他動運動、緊張位と減張位を理解して操作することは評価と治療をの最初の一歩です。
2012. 12. 26  
 立て続けに残念に思う患者さんが来られました。

 手の浮腫、拘縮、疼痛が主訴です。
 他医での加療で上記症状で症状固定の状態です。お一人は車で2時間半での通院です。
 結論から言えば腱鞘炎由来のStiff hand。

 他医から転院されてきた方にはどのような治療をなされてきたのかを事細かく聴取しています。何が原因でこのような状態になるのかを推測します。

 42度の過流浴、患者さんが拷問と表現する関節可動域運動、自動運動の励行。

 ある患者さんは、水道水でコメをといていて手が冷やされてとても気持ち良かったことを担当セラピストに伝えたにも関わらず、42度の過流浴を延々と行わされていたそうです。「どうして気持ちがいいのだろう?」と立ち止まって考えてくれればアイシングが必要なのかなと考えるものです。

 これが一部のセラピストの日常臨床なのです。
 このまま行くと、セラピストにおける信頼は失墜することでしょう。
 拷問のごとく関節の可動域の拡大を図ることの功罪。功はなく罪だけです。何とか自分が治してあげたいとの思いは推奨されますが、やっていることは罪です。
 挙句の果てに、「150日になりますから終わりにします。」と平然と言える神経がどうしても理解できません。

 患者さんはひたすら治ることを願い我慢しております。改善するための苦痛は我慢して頂き、結果が残らない痛みは我慢させてはいけません。

 浮腫を認める手は高挙手を徹底し、加熱しない。
 熱感のある手は加熱しないでアイシングを考える。
 他動的関節可動域運動は軽い痛みの範囲内で行う。
 自動運動を励行させると腱鞘炎を起こす可能性があるため注意を要する。


 最低限、これらはご理解したうえでハンドセラピィを行って下さい。
2012. 06. 29  
 手指の伸展拘縮の多くは、指背腱膜に原因があることが多いのではないかと思います。
 指背腱膜損傷に対しての再建、基節骨・中節骨骨折による癒着がなければ、容易に屈曲は改善されるものです。しかし、時には屈曲角度の拡大に難渋する例を経験します。

 特に難渋するのが、DIP関節に運動制限が著しく、PIP関節とDIP関節で伸展拘縮を呈している例です。
 DIP関節の著しい運動制限とは、末節骨骨折、DIP関節より遠位部での切断でDIP関節を関節固定例、DIP関節内骨折や関節症による著しいROM制限を認める例です。

 PIP関節は、関節裂隙も保たれ、中央索が癒着するような創部も認めません。単なる伸展固定による伸展拘縮と考えますが屈曲拡大が得られません。
 これは、側索が屈曲時に下垂しないで拳上されたままとなっているとしか言いようがありません。

 指背腱膜はPIP関節とDIP関節を屈曲するには長さが短く、側索の走行を変えなければなりません。つまり、PIP関節の背側から側面に下垂する必要があります。言い方を変えますと、側索を側面に下垂させるにはDIP関節の屈曲が必要となります。

 末節骨基部での再接着例で、DIP関節を伸展位仮固定のPIP関節の伸展拘縮を経験しました。
 PIP関節の屈曲可動域の拡大を目的にリハビリの処方が出たのですが、スプリントを用いても屈曲40度位で、それ以上の拡大を得られませんでした。医師に相談し、DIP関節の仮固定の鋼線を引いてDIP関節をフリーにしました。DIP関節の可動域が拡大することにより、徐々にPIP関節の可動域も拡大し始めました。
 このことは、側索が下垂することにより背側で屈曲に抵抗を示していたこととなります。

 DIP関節の変形性関節症の例では、DIP関節が屈曲30度で固定されており、PIP関節の伸展拘縮を訴えてこられました。DIP関節とPIP関節の同時屈曲で側索の走行に痛みが生じますが、それよりDIP関節自体の痛みが強い状態でした。PIP関節は80度位までは屈曲できたのですがDIP関節の痛みが残存し、DIP関節の屈曲を制限するテーピングを要しました。

 このように側索の下垂制限で生じるPIP関節の伸展拘縮例もありますので、PIP関節の屈曲ばかりにとらわれずDIP関節の可動性も合わせて診て下さい。
2011. 05. 31  
 内在筋拘縮は骨間筋筋性拘縮であり、PIP関節とDIP関節がMP関節伸展位で自・他動的に屈曲制限が生じます。また、筋性拘縮が強くなりますとMP関節の他動伸展にも制限が生じてしまい、重度では手指の伸展運動が内在筋プラス肢位の状態となり、物を握る際の指の開きや手をつく動作などに支障が生じます。

評価
 内在筋の評価は、MP関節を屈曲位と伸展位とで、PIP関節とDIP関節の他動屈曲にて抵抗感や制限の差で診ていきます。
MP関節屈曲位では、PIP関節とDIP関節の他動屈曲に抵抗感や制限がなく、MP関節伸展位で抵抗感や制限があれば陽性となります。

セラピィ
 筋性拘縮にある骨間筋を伸張します。伸張方法は、MP関節を他動的に伸展保持し、PIP関節、DIP関節を他動的に屈曲します。
 拘縮が重度ですと、MP関節の他動伸展を入れますが、側索の緊張が増し皮膚上からも側索の走行がはっきりと見えPIP関節は過伸展状態となります。ダイナッミクスプリントの併用が必要となります。

手術
 骨間筋の伸張性が完全に失われ、セラピィに抵抗する場合に限り手術の適応と考えます。手術は側索の腱切離です。両側にある側索のうち緊張が強い方をまず切離します。その後、一度前述した評価方法で抵抗感と制限を確認して必要あれば残りの側索を切離します。

 しかし、これで一件落着という訳ではありません。
 手指の内外転の障害に気付かされます。 

 側索の腱切離をするくらいですから、MP関節は屈曲拘縮となっております。この肢位では側副靭帯は緊張しておりますのでMP関節の内外転は生じにくい状態にあります。
 術後、MP関節が伸展位となってはじめて内外転の障害に気付きます。
 骨間筋は側索を形成する腱と基節骨底側面に停止する腱とに分かれます。前者はIP関節の伸展運動、後者は手指の内外転運動となります。
 側索を切離しますので内外転運動は保たれているように勘違いしますが、骨間筋は筋性拘縮の状態にありますので自動運動としての内外転運動は発現されません。ただ、手指屈筋による内転運動、指伸筋の外転運動がわずかに認めることが出来ますが、骨間筋による運動は得られません。
 このことから、つまむ動作を考えますと第1背側骨間筋の腱切離に関して十分に検討すべきかと思います。
HAND maintenance studio
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プロフィール

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

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