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2019. 01. 06  
 手術の適応の一つに「保存療法に抵抗を示す例」とあります。

 もすごく違和感があります。

 回りくどい言い回しですが…
 「ある疾患に対して、その疾患の病態を理解し、病期に即した的確な治療として保存療法が選択され、的確に実施したにもかかわらず、期待した治療効果が得られなかった例」が手術適応と考えます。

 ▷病期にかかわらず、取り敢えず保存療法とした例
 ▷手術適応例に対して保存療法を施行した例
 ▷手術適応例であるが患者が保存療法を切望した例
 ▷病態にそぐわない保存療法を施行した例
 ▷診断違い
 ▷合併症で同様な症状を呈する例
 ▷非協力的な患者

 治療法の選択は医師によりなされるものですが、セラピストの立場から意見することは躊躇すべきではありません。
 治療効果が望まれるのなら、患者負担が少なくリスクの少ない保存療法を優先的に選択し、治療効果を確認すべきです。
 最も避けなければならないことは、治療効果が得られないにもかかわらずセラピストの好みや信念だけで推し進めることです。治療の時期を逸脱してしまったら手術でも救済できないことも稀ではありません。

 治療効果がない。つまり「保存療法に抵抗を示す」場合、再評価をすべきです。何か重要なものを見落としていることがあります。類似疾患との鑑別も然り。患者の自己管理方法を再確認することも大切です。治療者として発展途上にあるという謙虚さが必要だと思います。

 今年もよろしくお願いいたします。
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2018. 12. 15  
 手根管症候群の手(CTS hand)とは、手根管症候群(正中神経の絞扼性神経障害)で生ずる正中神経の症状と、手根管症候群に合併する腱鞘炎の症状が混在した手を指します。

 指のしびれ(ジンジン・ビリビリ)、夜間痛、指先の感覚が鈍い、不器用になった、つまむ力が弱くなった、こわばり、手のひらの違和感・痛み、指が曲がらない・伸びない、ばね指、ほてっている、腫れぼったい・・・。

 「手根管症候群」+「腱鞘炎」=「CTS hand」
  
 腱鞘炎症状は、こわばり感や腫れぼったさ、痛み、ばね指を含めた腱の通過障害とそれによる関節拘縮であり、不快な症状である。これらに対しても治療の対象としなければ、結果的に患者さんの満足は得られません。

 正中神経の症状としてのしびれが改善し治療が終了となっても手指のこわばり感が残存していたならどうでしょうか?
患者立脚型の評価にも反映され、治療者と患者との間には温度差が生じた結果となってしまいます。

 このCTS handは私の造語です。
 敢えてCTSに罹患した手をCTS handとする理由は、医療従事者に正中神経由来の症状と腱鞘炎由来の症状が同居し、治療としては正中神経の除圧と腱鞘炎の鎮静化を図ることを強調し認識してもらうためです。
 腱鞘炎はとても難しい疾患です。

 腱鞘炎は疫学的に両手に発症しやすく、完治しても再発または他指で発症されるとの報告もあります。つまり、習慣的にメンテナンスを継続する必要があると考えております。
 ですから、セラピストが介入して腱鞘炎のメンテナンス方法を患者さんに習得してもらうことがセラピィの目的となります。

 わが国では発症してからの治療に保険が適応し予防には適応しませんが、再発予防は可能です。自己管理方法をしっかりと指導する。それでだめなら重症化する前に再受診。

 手根管症候群の患者を診る際に腱鞘炎を診てみてください。
2018. 10. 27  
相談よろしくお願い致します。
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 はじめまして。やっとの思いで阿部先生のサイトに出会いました。

 左手の小指の怪我の治りが悪く、どうすればいいか悩んでいるので、相談させて下さい。

 30代 女性 (子供あり)です。

 去年の○月にバスケットボールで左手小指を突き指。
 PIP関節の背面脱臼。側副靭帯に緩みはあり。骨折などはなく保存療法。
 アルフェンスシーネで10日固定後、バーディーテーピングで運動開始。
 PIP関節の屈曲、伸展不足で、1ヶ月後からOTさんによるリハビリ開始。
 リハビリ開始時。PIP関節屈曲50度 伸展40度。痛みが強く、ほとんど動かない状態。
 リハビリ開始4ヶ月。PIP関節屈曲70度 伸展30度。ジョイントジャック作成。
 リハビリ開始10ヶ月卒業。PIP関節屈曲90度 伸展10度~30度

 リハビリ卒業時、PIP関節を90度曲がるものの、握る事がすごくしにくい。鍵握りなどはほとんどできない。曲げる時にPIP関節の背面に突っ張る感じ。伸展もリハビリの後やジョイントジャックの後は10度になるものの、すぐに30度に戻る。
 ある程度の慣れが必要と、主治医から言われる。

 現在。PIP関節屈曲80度 伸展30度。自宅でリハビリを続けるが、握れない硬さ。伸びない指。最近は痛みにも悩まされています。 特にPIPを80度近くまで曲げた状態でDIPを曲げようと力を入れると、PIPの背面からMP関節まで、ツッパリ感とかなりの痛さがあります。
 家事をする時、またバスケットをする時、とても不快で困るので、再度病院を受診した所、手術をすすめられました。けれど、主治医からは、開けてみないと、してみないと、痛みや可動域がどうなるかは、本当にわからない。っと言われ、迷っています。
 保存療法をしてきて、今さら手術。結果は、やってみないとわからない状態。でもこの痛みやツッパリ感は、どうにかしたい。
 1週間後に再度受診になっているのですが、どういう選択をしたらいいのでしょうか?

 素人の文章で、わかりにくい所も多々あると思いますが、よろしくお願い致します。



 ご質問ありがとうございます。
 直接手に触れて診れないことが辛いです。

 経過が長いので今更保存療法で改善するということは厳しいと思います。
 保存療法で加療し今更手術とは・・・嘆いているようですが、組織損傷で無視できないのが損傷組織の修復です。私たちの体には修復する能力があります。転んで膝をすりむき外科的加療がなされなくとも傷は治ることは多少なりとも経験していると思います。手術は自己修復が不可能なもの、困難なものに行われますので、自己修復が可能な例では手術でなく保存療法が選択されます。N.T.さんの場合、自己修復が可能と医師が判断し保存療法となったのだと思います。損傷組織が修復する際に周囲組織と癒着してしまったのだと思います。

 PIP関節脱臼の合併症について考えてみましょう。
 関節は骨と骨の連結であり関節包や靭帯など関節構成体で連結されています。
 脱臼はこれらの関節構成体が損傷しないと成立しません。関節を掌側面、背側面、左右側面の四角形に例えると、脱臼が生ずるには2面の組織が損傷されると言われております。
 掌側には関節の安定と過伸展を制御する掌側板がありますが、背側脱臼なのでこの掌側板の損傷は避けきれません。この掌側板と左右どちらかの側面の側副靭帯の損傷があったのだと思います。他に関節包の損傷も考えられます。
 これらが修復される過程で周囲組織と癒着してしまいます。この癒着が拘縮となり関節可動域の制限となってしまいます。
 恐らくMP関節は制限がなく、PIP関節とDIP関節が制限されていると思われます。このような制限有りなしの状態で指の自動屈伸 運動を一生懸命に行うと腱鞘炎が発症してしまい痛みの原因となります。小指のこわばった感じや熱感などはありませんか?

 PIP関節では上部側面にDIP関節を伸展する側索という伸筋腱が走行しており、この側索の癒着が原因での可動域制限と思います。ジョイントジャックでPIP関節を伸展してもすぐに戻ってしまうこと、PIP関節を屈曲した状態でのDIP関節の屈曲によるPIP関節の背側が痛むことは側索が癒着しているからだと思います。

 今後の選択肢として側索の腱剥離が必要だと思います。
 それまでに可及的にPIP関節とDIP関節の他動伸展の拡大を図って下さい。
 ジョイントジャックをお持ちとのことですので持続的に矯正して下さい。
 熱感がありましたら水道水を洗面器に溜めて手首も含めて冷やして下さい。今の時期の水道水は20℃なので冷やすのに丁度いい水温です。

 腱剥離後は再癒着しますのでリハビリをきちっと行う必要があります。自分のスケジュールを確認して頻繁に通院できる期間に手術されることが望まれます。

 ちなみにセカンドオピニオンで他の手外科医の診察は受けられないのでしょうか。
2018. 10. 01  
 こんばんは、お久しぶりです。先生にお聞きしたいことがありまして、連絡させていただきました。

 リウマチで中指、環指、小指伸筋腱の皮下断裂の患者さんです。
 前医で手指の伸展機能再建目的に長掌筋腱移植をしていましたが、再断裂した後に当院を受診されました。

 当院では、腱移行による手術をしています。FCRを骨間膜を通して、遠位に残存している伸筋腱までのギャップには、長趾伸筋(FDL)を移植し、手関節を跨いでEDC、EDMに腱移行を施行しております。術後2日目から早期運動を開始しています。術中所見では移行腱を引っ張ってMP関節の伸展はー20度くらいでした。

 MP関節を自動伸展させたい時の、手関節の肢位のことです。
 tenodesis effect用いることでMP関節を伸展できますが、自動伸展を手関節掌屈位で行うと、flexorやintrinsicに力が入ることでMPが屈曲位になります。試しに手関節を軽度背屈位にしてMP伸展を命じると、掌屈位と比較して10度以上は伸展しました。

 腱移行後の筋の走行をイメージすると、FCRの起始からEDCへ向かいますので、背屈位の方が直線的に作用しそうなイメージがあります。手関節の肢位をどちらで手指を伸展させる方が良いか、先生のご意見をくださると嬉しいです。お忙しいところ失礼いたしました。




 お元気そうで何よりです。セミナー開催では大変お世話になりました。
 学会に参加されておりますか?今度、学会に来られましたら声をお掛け下さい。

 ご相談ありがとうございます。

 この術式は、手関節屈筋のFCRをEDに縫合しているので、腱固定効果で手関節を掌屈するとMP関節は伸展します。
 私たちは何気なく指を伸展する際に手関節は掌屈します。指伸展時に手根屈筋が働くわけですから、手根屈筋とEDは指伸展時には共同筋となります。この手根屈筋の一つのFCRをEDの力源にするとスイッチングが容易です。

 今回の症例では弱めの緊張に思われます。緊張が弱いのでMP関節は伸展不全となり、努力性に指を伸展しようとして内在筋が強く緊張しIP関節が伸展となっているように思われます。
 努力性にMP関節を自動伸展させようとはせず、手関節の自動掌屈で指が伸展することを習得して貰い、徐々に手関節の伸展を上げていくようにした方がよろしいかと思います。

 手関節に可動域制限がある例では、腱固定効果を期待するよりは自動掌屈によるFDR→ED→MP関節伸展を獲得するために縫合腱の滑走はとても重要となります。
 内在筋拘縮はないでしょうね。内在筋拘縮があるとMP関節は伸展制限が生じます。


 ご質問の指伸展時の手関節の角度ですが、腱の癒着を回避するためのも腱縫合部の滑走が生じやすい肢位を考える必要があります。
 手関節の掌屈と指伸展の腱固定効果のみでの腱滑走では癒着は避けきれません。手関節を背屈位にしていく必要がありますが恐らく指の伸展不全となると思います。
 セラピストが手関節を背屈位で固定した状態で手関節を自動掌屈するように指示します。FCRの緊張により腱縫合部は中枢に滑走しMP関節は伸展します。
 漠然と背屈したままMP関節を伸展して下さいとしてもスイッチングされていなければ腱縫合部は滑走されないものと思います。

 この症例では、伸展不全があるので移植腱は長いのだと思います。そうしますと、手関節背屈位では腱は緩んだままであり、腱縫合部は滑走しないと思います。
 腱の滑走を出すためには腱床を延長する必要があります。手関節の掌屈位ですね。手関節掌屈位のまま自動的に掌屈させてMP関節が伸展すれば腱縫合部は滑走しているということになります。
 ご理解頂けたでしょうか?
2018. 09. 20  
訪問者(作業療法士 Tさん)への返信
件名:ご相談
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はじめまして、大阪府で作業療法士をしておりますTと申します。
いつも参考にさせていただきます。今回、ご相談に関してどのようにすれば良いのか分からずここへ書いてしまいました。急であり失礼かもしれませんがよろしくお願いします。

示指屈筋腱断裂修復後に癒着を起こし、腱剥離術を実施した事例です。剥離後の訓練は初めてなので色々と調べたんですが、なかなか文献見つからず相談させていただきます。腱剥離後は出血をしてでも滑走性の獲得と可動域の獲得が必要だと伺った事がありますが、滑走訓練時の出血に限っては気にしなくて良いという事でしょうか。
PIPに伸展制限があるのですが、その他動可動域訓練時や示指の他動伸張時の出血は良いのでしょうか。また疼痛に関しては軽い痛みで止めておいた方が良いでしょうか。
30代男性 断裂zone? 剥離術後4日目
DIP自動屈曲30°(PIP固定)
PIP自動屈曲60°伸展-20°
MP関節は制限ありません
現在は先輩OTにより実施されていますが、泣くほどの痛みと多少の出血を伴いながら行なっております。患者様は協力的ですが継続して良いかどうか分からず、、Drにもお話を聞く予定ではありますが、手の外科専門では無いのでお時間ありましたらよろしくお願いします。




 ご質問ありがとうございます。
 腱剥離後のリハビリは、獲得した腱滑走の維持と腱性拘縮が解除されますので屈筋腱であれば他動伸展の獲得が求められます。
 腱剥離のリハビリは準備から始めます。可及的な関節可動域の拡大と浮腫や腫脹の除去です。
 そして、手術見学では、縫合腱の状態、温存された腱鞘、深指屈筋腱と浅指屈筋腱の癒着状態、剥離後の腱滑走状態、止血操作などを確認しておきます。
 腱剥離が不十分であることもありますので、自動屈曲や他動伸展での腱の滑走状態をきちっと目視するようにします。

 術後の出血と疼痛に関してのご質問ですね。
 腱剥離術後でも腱縫合術後でも、早期のセラピィでは出血はやむを得ません。事前に患者に説明しておく必要はあります。数日中には止血されるのが一般的です。
 ただし、皮膚離開を認めましたら医師にすぐに報告して下さい。感染にも要注意です。

 痛みに関しては、泣くほどの痛みはやりすぎだと思います。腫脹の原因となり関節の可動域制限になりますし、CRPSへの移行にも注意すべきです。
 でも、何が痛いのでしょうか?他動運動でしょうか?腱滑走でしょうか?
 痛み対策としては、坐薬をリハビリの1時間前くらいに使用してもらうと痛みが緩和します。

 提示された自動可動域は屈曲不全でしょうか?
 MP関節には可動域制限がないので腱鞘炎による通過障害はありえませんか?
 通過障害による屈曲不全というケースもあります。
 屈曲不全(自動屈曲制限)なのか、屈曲制限(他動屈曲制限)なのか、どちらなのでしょうか?

 疑問にもつことは大切ですが、色々な情報から推測することの方が臨床家としては大切です。
 もう少し情報が欲しいですね。
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プロフィール

阿部幸一郎

Author:阿部幸一郎
作業療法士、認定ハンドセラピスト

 日常の臨床で手のリハビリに携わるセラピストを応援し、自分自身も切磋琢磨することを目的に、2011年7月にこのHAND maintenance studioを発足致しました。
 特に、指導者がいないセラピスト、数少ない手外科の患者をどのように診ていいのか迷うセラピスト、総合病院で手外科に専念できないが興味があるセラピストなどを応援します。
 そのため定期的な手のリハビリテーション(ハンドセラピィ)に関するセミナーを企画開催しております。
 また、手のことでお悩みがある方に対しては相談や運動指導を直接行っております。
 ご遠慮なく、訪問して下さい。

Twitter:@hand_abe(フォローをお待ちしております)

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